「私は二年四組の星野さんを推薦しようと思います。彼女なら先輩相手にも物怖じせず仕事が進められると思いますし、私との面識もあり相性もいいです。もはや相棒と言ってもいい領域に達した仲ですので」

とか言い出す流れでは?



 びくびくしながらわたしは松本くんの蔭に隠れるように縮こまった。こんなところで副委員長に任命されてなるものか。わたしは絶対の絶対に小神と組むわけにはいかないんだから――と。

 ひたすら姿勢を低く、目立たぬようにという努力を無駄とは知りつつも行っていると、わたしの隣で影が動いた。

「すみません、僕はその意見には賛成しかねます」

 松本くんの声が、いつになく力強く教室に響いた。見ると、松本くんは挙手したまま、小神の方ではなく司会者の方をまっすぐ見据えている。

 ここで松本くんがタイムリーヒットといわんばかりの助け船を出してくれたことにより、わたしは姿勢をもとに戻すことができた。

 司会者はやや戸惑いながら、名簿と思しき紙を慌てて拾い上げた。

 自己紹介したばかりのため、一人ひとりの名前までまだ把握しきれていないらしく、

「えーっと、君は二年の会計委員の……」

「松本と言います」