我々三人がそうこう不毛なやり取りをしているうちに、委員会は始まった。

 司会者は前年度の副委員長で今年三年生の先輩だった。今年度の会計委員の委員長と副委員長を募ると言う。

 学年は問わないが、できれば三年生の中から委員長と副委員長の両方を選びたい、去年は僕は二年だったのに副委員長をやらされて先輩相手に実にやりにくかった、と冗談を交えながら、教室に笑いを誘う。

「それでは、本年度の委員長を務めてくれるという人は挙手してください」

 これは時間がかかりそうだな、とわたしは思った。

 三年生なんてみんなそれぞれ自分の受験勉強に専念したいだろうから。

 推薦を狙っている人がいるにしても、三年のこの時期から委員で力を出したところで間に合うものではないだろうに――そんな風に帰宅時間が大幅に遅くなるだろうことをわたしが半ば覚悟しかけたその時だった。

 わたしの視界の斜め前で、すっと天井に向かって白い腕が伸びた。

 あまりにも静かに行われたその動作に、その挙手が委員長に立候補することの意思表示だとは、すぐには判断できなかった。

 しかし、それは紛れもなく委員長になることの意思表明でしかなかった。そして、挙手しているのは誰かといえば、