「いやー、かおるが責任感の強い子だったなんて、知らなかったー」
「ほんとねー。でも、会計委員だなんて、ぴったりじゃない」
 わざとらしい棒読みの声を無視して、放課後わたしは三年生の教室へと向かう。

 わたしが何かしらの委員を引き受けるというのが、友人は愚かクラス中のだれもが予想していなかったということ。
 それから、まさに松本くんが会計委員に立候補した直後にわたしが挙手したこと。

 この二点が合わさって、教室は一瞬沈黙し、それから冷やかしの声、苦笑、「星野って実は松本に気があるんじゃね?」などと恋愛感情を好き勝手に憶測する声で満ち溢れ、担任がそれを制止し、そのドタバタの空気の中でとんとん拍子に他の委員が決定していったのであった。

 みんな、どれだけわたしに金銭を扱わせたくないのだろうか……

 軽くショックを受けつつも、でもわたし自身、自分が何かの委員を引き受けるだなんて(それもクラスの金銭が関わる重要な仕事だ)考えていなかったのだから正直驚いている。

 何かの力がわたしにそうさせたのだろう。