うちの学校でいう「人気のない委員」とはすなわち、仕事がきつい委員会や地味で花のない委員会のことを指す。

 この両方を兼ね備えている委員会は嫌われる傾向にある。

 例えば学級委員なんかであれば確かに日々の雑用で仕事がきついことはきついが、クラスの代表という点で花があるため人気のある職である。

 一方会計委員なんかは、金が関わってくるため責任が重いわりに、日蔭の仕事が多く地味であるため、生徒は敬遠しがちなのである。

 大学に推薦入試で入ろうと思っている生徒は率先して委員会を引き受けるが、わたしのように特にそういう野心の欠片もない生徒ははなからこのミーティングそのものに参加していないも同然の態度をとる傾向にある。

 実際去年のわたしは、ホームルーム中ずっと道端の小石のように目立たぬようにして時間をやり過ごした。

 と、いうわけで今年もわたしは委員など引き受けるつもりはさらさらない――そんなスタンスで、「お前やれよー」なんていう声で徐々に騒がしくなる教室の中、自席でひっそり息をひそめている……つもりだった。

 ガタッ。

 わたしの、ほんのすぐそばで、椅子が動く音がしたのである。