答えたそばから、何事もなかったかのように生物の参考書を選び始めている。一冊手に取り、パラパラと中身を確認しながら、松本くんは尋ねた。
「本当は、生物の授業終わりに俺が先生の所に行っているのを見たから、だろ?」
「うん」
「俺、進路次第じゃ生物が二次試験にまで関わってくるかもしれないから。早めに対策しないとだめだと思って」
「そうだったんだ。大変だけど、えらいね。わたしなんてまだちゃんと進路も決まってないのに」
嘆息混じりに、高い書店の本棚を見上げる。東大・京大を頂点とする国立大学に、私立大学、外国語大学、女子大、専門学校――わたしたち高校生に提示された道は実に多岐にわたる。
就職や海外への留学も含めれば、もっと選択肢は膨らむだろう。
ここに詰まっている大学の過去問題集を見る度に、いったいわたしはどんな道を進むべきなのか、迷宮入りしてしまう。
「あれ、志望校調査の紙、始業式の日に提出しなかったのか?」
「本当は、生物の授業終わりに俺が先生の所に行っているのを見たから、だろ?」
「うん」
「俺、進路次第じゃ生物が二次試験にまで関わってくるかもしれないから。早めに対策しないとだめだと思って」
「そうだったんだ。大変だけど、えらいね。わたしなんてまだちゃんと進路も決まってないのに」
嘆息混じりに、高い書店の本棚を見上げる。東大・京大を頂点とする国立大学に、私立大学、外国語大学、女子大、専門学校――わたしたち高校生に提示された道は実に多岐にわたる。
就職や海外への留学も含めれば、もっと選択肢は膨らむだろう。
ここに詰まっている大学の過去問題集を見る度に、いったいわたしはどんな道を進むべきなのか、迷宮入りしてしまう。
「あれ、志望校調査の紙、始業式の日に提出しなかったのか?」