ほっそりした青白い顔に、ふちなし眼鏡をかけた、いかにも神経質そうな目つきをした男子高校生。

 それが小神忠作だ。

 時と角度によっては大学生に見えることもあるし、中学生に見えることもある。

 あるいは「忠作」というその名の通り、平成時代の人間ではなく実はタイムスリップしてきた前近代の人間なのではないかと思える発言をすることもあった。

 まさしくカメレオンのような男だ。

 黙って微笑んでいればそれなりに美青年めいて見えるのかもしれない。
 決して顔立ちは悪い部類には入らないと言える。

 けれども残念ながら、一度たりともわたしの目に「美青年」として映ったことはない。

 なぜならば小神は決して微笑まないし、黙らないからだ。

 それも、口を開けば奇人・変人丸出しの言葉の連続なのだから、「美青年」の「び」の字も風に飛ばされ綺麗に消え去る。