「かおる、疲れてる?」
授業中に無駄な神経を使っていたからか、確かにわたしはすっかり疲れ切っていた。
「っていうか、ずっとそわそわしてるよね。あたし、授業中ちらっとかおるの方見たんだけどさ、なんか授業以外の何かに気を取られてるって感じだった」
「本当に? そんなことないと思うけど」
と、平然とした口ぶりで返しながら、わたしはさりげなく目の前のグラウンドに目をやる。
実はさきほどからわたしは気付いていた。
グラウンドのもっとも奥、黒い土のきちんと入った野球場の方で松本くんとその他数名がキャッチボールをしているのだ。多分松本くん以外の数名も野球部だと思われる。学ランを脱ぎ、ワイシャツのまま気ままにボールを投げたり受けたりしている。
昼休みであっても体をなまらせないように、とのことなのだろうか。この学校で休み時間にグラウンドを使う部活はひとつたりとして、ない。特に校則でそう定められているわけではない。けれども生徒たちは進んでグラウンドに出ようとはしない。そういう学校なのだ。
授業中に無駄な神経を使っていたからか、確かにわたしはすっかり疲れ切っていた。
「っていうか、ずっとそわそわしてるよね。あたし、授業中ちらっとかおるの方見たんだけどさ、なんか授業以外の何かに気を取られてるって感じだった」
「本当に? そんなことないと思うけど」
と、平然とした口ぶりで返しながら、わたしはさりげなく目の前のグラウンドに目をやる。
実はさきほどからわたしは気付いていた。
グラウンドのもっとも奥、黒い土のきちんと入った野球場の方で松本くんとその他数名がキャッチボールをしているのだ。多分松本くん以外の数名も野球部だと思われる。学ランを脱ぎ、ワイシャツのまま気ままにボールを投げたり受けたりしている。
昼休みであっても体をなまらせないように、とのことなのだろうか。この学校で休み時間にグラウンドを使う部活はひとつたりとして、ない。特に校則でそう定められているわけではない。けれども生徒たちは進んでグラウンドに出ようとはしない。そういう学校なのだ。