◇◇◇

「せんぱーい、大丈夫ですか?」

 ここは保健室。

 黄ばんだカーテンによって区切られたベッドの一つに、すっかり青ざめたまま目を開けない小神が横たわっている。

 時折うめき声をあげるものの、まだ意識は回復しない。

 どれだけ食堂革命にショックを覚えたというのだこの男は。

「星野さん。昼休みの間だけでいいから、小神君のこと見ておいてくれる?」

 職員会議があって少々保健室を離れなければならないという養護教諭に頼まれ、わたしはしぶしぶ小神の看護を引き受けた。

 午後の授業まであと十五分ほど余っている。

 カーテンの外から丸椅子を引っ張り込み、わたしはそこに腰かける。

 小神の寝顔をわたしは見下ろす。

 眼鏡をはずし、黙っている小神は(ここが重要なポイントなのだけれど)、いつもよりやや男前に見えないこともない。

 いずれにせよ松本くんのように日焼けした健康的な男前とは種類が全く異なるのだが。

 ふと、わたしは今の小神に語り掛けてみたくなった。