時刻は正午を三十分過ぎたところだった。

 ここはわが校の食堂である。広くて清潔で、その上ステンドグラスが窓の至るところにはめ込まれているおしゃれぶりであるため、本来居心地がいい空間以下略。

 なのに!

 わたしの目の前にはどういうわけかわたしの心をかき乱す男・小神忠作が、さも当然のことのようにして座っていた。

 しかもまたしてもギョーザを注文しているではないか。

 こう毎度毎度ギョーザばかり注文しているのだから、食堂の従業員もおそらく小神のことを心の中で「ギョーザ眼鏡」などと渾名しているに違いない。

 わたしが食堂のおばちゃんならきっとそうする。

 わたしの絶叫によって、すでに腰かけて昼食を胃袋の中にせっせと詰め込んでいた生徒も、カウンター前で自分の飯がやってくるのを待っていた生徒も、一斉にわたしに視線を注いだ。

 どの瞳にも「何が起こったんだ」という純粋な疑問か「静かにしろ」という忠告のいずれかが浮かんでいた。

 そのまま二秒ほど静止したのち、関心を失ったのか、視線を元に戻す。