――覗き見。

 その言葉に反応せずにはいられなかったのだ。

 実際にわたしが今行っているのは、意図的ではないにせよ、他人の夢の覗き見なのだから。

 ちょっと待って、言い訳させて――わたしがそう思わず口にしそうになった矢先、夢の主がこう告げた。

「わざとではないのです、比奈さん」

 小神の声で夢の主は告げる――ということは、今宵わたしが覗き見ているのは、どうやら小神の夢らしい。

 思わず心の中で嘆息した。

 何が楽しくて昼も夜も小神に関わらなくちゃいけないのよ。

 ところで、〝比奈さん〟って誰だ?

「小神君、あなたは自分の能力を使って他人のプライバシーを侵害しているのよ? その罪の重さ、あなたならわかっているはずよね?」