それからもう何日かして、小神のいう松本くんの「努力する姿勢」なるものを探してみようという気持ちになった。

「怠け者」のわたしを変えさせるほどの何かが、松本くんにはきっとあるんだろう――半ばやけくそのような気持ちだった。

 彼がちょうど後ろの席にいるおかげで、授業中であってもほんの少し意識を後部に集中させるだけで、彼が授業に没頭しているのか、そうではないのかを知ることができるんじゃないか――そう思った。もし授業中に寝ていれば寝息がするであろうし、集中していればノートに板書を書き写す音が聞こえるだろう、と。

 二週目の水曜日、わたしは一時間目の英語の授業で試してみることにした。立礼の行われた次の瞬間から、こっそり意識を背後に向ける。

 それではテキストを開けてください、という教師の指示のすぐ後、クラスの全員が机に出していた教科書を開く音、あるいはまだ机の中に眠っている教科書をごそごそと探す音がする。わたしは後者だった。