一通り話し終えてから、松本くんは、

「小神先輩にひどいことを言った。だから最後に一度会って謝りたい。それからお礼も言わないと」

と恥ずかしそうに告げた。

 松本くんはどうやらあの日、彼の夢とわたしの夢とがクロスした後に起きた出来事ことについて、リアルの世界で起こったものだと思い込んでいるらしかった。

 記憶の細部が曖昧で、真実味のある場面だけが松本くんの記憶の中では都合よくつながっているようだった。人間の記憶や認識なんて、そんなものかもしれない。

 このわけのわからない夢を覗く超能力のことを、どう松本くんに説明すればいいのかと悩んでいたわたしにとって、それは朗報だった。

 適当に松本くんの記憶に沿って、わたしはあの日の出来事を改変して話を合わせることにしていた。

「ずっとそう思ってたんだけど、最近、小神先輩を見かけないんだよな」

「小神のことなら、そうね……」