冷たさと鋭利さの混じり合った言葉に、わたしは一瞬、耳を疑った。関係ない、って言った?

 強烈な一言に、松本くんの目が良くも悪くも意識を取り戻したように見える。

 目の焦点が元通りになり、小神を見上げた。

 しかしそこには依然として感情らしきものはなかった。

 そんな松本くんの様子には構わず、小神は続ける。

「松本大輔が堅実に生きようが野球選手になろうが、私の人生は一ミリたりとも狂いやしません。
 星野さんの人生だって同じです。こんな私たちの人生を狂わすことさえできないあなたの選択が、ましてや世界を動かしますか? そんなはずないでしょう。

 あなたが野球選手になることで世界が滅亡しますか? 戦争が起きますか? 飢饉が起きますか? そんなことあり得ません。

 何を恐れているんですが、この阿呆男」