小神はこう言った。

 わたしが自分の意志のままに行動する自由さにあこがれたのだ、と――。

 でも考えてみよう。

 わたしは本当に自分の意志のままに行動しているか?

 誰の干渉も受けず、気ままに人生を謳歌しているか?

 いやそんなことはないはずだ。

 わたしはこれといったビジョンもなく、欲望のままに何ものかに体当たりしているだけの馬鹿な女子高校生に過ぎない。

 しかしその欲望だって本当に自分の中から出てきたものなのかと言われればそんなことはない。

 たとえば新商品のスイーツをチェックするのはそれが誰かが「おいしい!」とか「欲しい!」とかいうから、「わたしも食べなきゃ!」と思っているに過ぎない。

 塾に行かず、家庭教師もつけないのはただ勉強が面倒くさいからに過ぎない。

 部活をやらないのは、特に何の特技もやりたい競技もないからに過ぎない。