「でも驚くべきことに、その能天気な夢を見たとき、私の心は知らず知らずのうちに軽くなっていました。

 そのころずっと松本くんの夢を覗き見ては心を重くする、そんな夜の連続だった私に、夢の主は憩いのひと時をもたらしてくれたのです。ね、星野さん?」

「うるさいうるさい! もうその夢のことはすっかり忘れてしまえ!」

「これが今世間をにぎわせている『ツンデレ』なる反応なのでしょうか。
 もっとあなたは胸を張って私に恩着せがましい態度を取るべきではありませんか?
 私は、あなたの夢のお陰で救われたと言っているのですよ?」

「感謝しているのなら黙ってください!」