「なんだかとっても失礼なことを言いましたよねえ、今」

「失礼を承知で言っているんです。はっきり言って、今のあなたはかなりの怠け者です。昨年度のあの赤点の数は一体なんですか」

 完全な真顔で小神はわたしの学業態度を責める。

「……」

 反論できないところが、悔しい。

 小神の主張に間違いがあるとは、今のわたしには言う資格がない。高校に入ってからというもの、食事・睡眠・遊び・部活が生活のメインとなっていることは、小神にはばればれのようであった。勉強など二の次三の次。遊びたい盛りの年頃なんだから――とは言うけれど、さすがに赤点の常連となってしまった今、そんな台詞を言えるのかどうか。

 ただ、どうしてそれを小神如きが知っているのかと、わたしは不審に――「そりゃあ、調べましたよ」

「え?」

「どうして私が星野さんの成績を知っているかって、その手段をお教えすることはできませんが」

「うわあ、個人情報の守秘義務ってうちの学校にはないんだ……」

 衝撃の事実である。

 受け入れるのに、時間がかかりそうだ。

 というか、ついさっき「不法な手段で個人情報を入手したのでは」という小神の疑いが晴れたところだったのに、ものの数分で小神本人がその疑いを確信に変えてしまった。恐ろしい。

 このさきずっと、わたしは個人情報漏えいの恐怖にさらされて生きることになるんでしょうか……。