「ある時、私は彼女の夢を垣間見たことで、彼女の抱えていた深刻な悩みを偶然にも知ってしまいました。それ以前、私は彼女が何か悩みを抱えている人物であるとは思ってもいませんでした。彼女は頭脳明晰で、いつも明るく誰にでも公平で親切――絵にかいたような優等生でしたからね。彼女の悩みがどんなものであったか。それは彼女のプライバシーに関わることなので、星野さんにお伝えすることはできません。彼女にとってその悩みは絶対に他者に知られたくないものでした。しかしお節介にも私は彼女のその悩みを解消しようという思いに駆られ、彼女にその夢を見たことを打ち明けたのです」

 予想を越えた真剣な話に、わたしは鯖の味噌煮を食べる手を休めた。一体どのような悩みが「彼女」の心のうちにあったのだろうか?

 しかし、そこで彼女を放っておかなかったところが(良くも悪くも)小神らしいところで。お節介焼きなのは昔からのようだ。