「はっきりと言葉に示されるわけではありませんが、何度もその人物になりきり夢を見るうちに、その人の本性や本心が自ずと明らかになります。誰が何を望み、誰を愛し、誰を厭っているのか。どんな悪事を企て、どんな苦悩に苛まされているのか。ありとあらゆる人の心が、夢を介して知れてしまうのです」

 そこまで話してから、小神はまたしても美麗な手つきでハンバーグの一片を口に運びいれた。

 咀嚼する間はかたくなに口を閉じ、一言も漏らさない。