でも勝負はここから。今食べたのはあくまで最上部のクリームでしかない。

 つぎは、イタリアンの要素をどう見せてくれるかだ。わたしはスプーンを次なる層へと沈めた。



「そして、あなたがこの能力を今年になって突然手にしたのには、私の影響があることは否めないでしょう。簡単に言うと、私の能力があなたに何かしらの原因で転移してしまったのです。ひょっとするとそれは私が星野さんに並々ならぬ愛情を感じているから、かもしれないのですが」



「え、今なんてった?」

 わたしはぴたりとパフェをすくうスプーンの動きを止めた。幻聴や勘違いでなければ今小神はものすごく不快な一言を口にしたような気がするのだが?


「ここでやっと私の発言にまともにリアクションをするなんて、やはり星野さんは私に関心がおありなのでは?」


「なわけないです!」



 たとえ冗談だとわかっていても、額にぷつぷつと嫌な汗がにじみ出てくる。じりじりと、顔が熱くなるのがわかった。こんなことで勘違いなんてされて学校中で「星野さんは私に恋をしているようです」だなんて吹聴されてはたまったもんじゃない!