「さあ、そんなことよりも松本くんの話です。あなたが今年同じクラスになった男子生徒」
今までのやりとりが何事でもなかったかのように小神は切り出した。
そう、今わたしは今年初めて同じクラスになった、全く顔見知りではない松本という生徒についての話を強制的にさせられている。といっても、小神が一方的にしゃべっているだけなのだが。
事の発端は、新クラスでの初めてのホームルームが終わった直後だ。
わたしが教室から出ると、教室前にあるクラス名簿の貼りだしを、気持ち悪いくらい真剣な眼差しでじーっと見つめる小神に出くわした。
普通、クラスの名簿表というものはあれほど真剣な目つきで凝視するものではない。
それも、自分とは縁もない他学年のクラスの名簿なのに。
後輩の名前をすべて暗記しようとしているのかと思ったほどだ。
そんなもの覚えたって、テストでは一点の足しにもならないですよ――とわたしが皮肉ろうとしたその時、小神は突如顔を上げ、わたしの姿を認識した。
すると小神は何の前置きなく「松本くんの話をしましょう」と切り出し、気付けばわたしはぐいぐい腕を引っ張られ学食へ連行されていた――という成り行きだ。
今までのやりとりが何事でもなかったかのように小神は切り出した。
そう、今わたしは今年初めて同じクラスになった、全く顔見知りではない松本という生徒についての話を強制的にさせられている。といっても、小神が一方的にしゃべっているだけなのだが。
事の発端は、新クラスでの初めてのホームルームが終わった直後だ。
わたしが教室から出ると、教室前にあるクラス名簿の貼りだしを、気持ち悪いくらい真剣な眼差しでじーっと見つめる小神に出くわした。
普通、クラスの名簿表というものはあれほど真剣な目つきで凝視するものではない。
それも、自分とは縁もない他学年のクラスの名簿なのに。
後輩の名前をすべて暗記しようとしているのかと思ったほどだ。
そんなもの覚えたって、テストでは一点の足しにもならないですよ――とわたしが皮肉ろうとしたその時、小神は突如顔を上げ、わたしの姿を認識した。
すると小神は何の前置きなく「松本くんの話をしましょう」と切り出し、気付けばわたしはぐいぐい腕を引っ張られ学食へ連行されていた――という成り行きだ。