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矢見マドカ
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レビュー一覧
ネタバレ
真に迫った心理描写
ヤバイ教師を期待して拝読したのですが、もはや清々しいほどの悪人ぶりで楽しめました。作中では色々と興味深い彼の持論が展開されますが、特に「矜恃」の話が印象深かったです。恐らく物語の根幹になる部分ですよね。彼自身がそれを意図していたのかは分かりませんが、何でも一人で抱えこもうとする主人公に対して、周囲の人間と向き合う勇気をもつことを助長してくれているようにも感じられて、憎めないキャラクターだな、と思ってしまいました。悔しいですね。
学生時代における家庭環境の違いは、人間関係に顕著に表れるので、主人公がコンプレックスに思ってしまうのは痛いほど共感できました。自分でどうにかできる問題ではないからこそ、やりきれないような苦しさがある。思わず過去を思い出してしまうくらい、真に迫った心理描写でした。心が弱っていない時に読むことをおすすめします。
2025/01/15 06:23
ヒューマンドラマ
4ページ
完 ・総文字数16,647
ネタバレ
致死量の恋情がここにある
不穏さを秘めた素敵なタイトルですね。冒頭のシーンから心掴まれ、あっという間に作品の虜になりました。夏、田舎、少年少女の逃避行、白いワンピース。そんなノスタルジックな要素が詰まっていて、訳もなく泣きたくなるような感慨に浸れます。何と言っても、諦念を纏った匂坂くんの語りが魅力的でした。言葉で壁をつくることで自分を守ってきた彼の性格が、一人称の文体に表れているのだという感じがして良かったです。また、後半パートでは彼の成長も見られ、予想外な展開が続き、とても楽しめました。
ところで、主人公がヒロインに向ける想いに対して、形容する言葉を上手く思いつけません。それは時に、究極の自己愛のようにも映るし、神を崇めるような崇拝にも映ります。けれど、そんなあまりにも重たい感情を抱える彼は、確かに彼女に恋をしていたんですよね。最後に。どうかあなたも本作を読んで、致死量のノスタルジーと一途な感情に溺れてください。
2025/01/11 09:32
ヒューマンドラマ
20ページ
完 ・総文字数105,114
ネタバレ
重厚で緻密なストーリー
まず不幸体質のヒロインの設定が魅力的でした。生まれながらに不幸を引き寄せる性質をもつ葉桜は、紫鶴宮家の繁栄のために巫女として利用されてしまう。悲しいことですが、その構図は世の中の摂理でもありますよね。
そして、強く心を掴まれたのは、紅葉が葉桜に放った「君らしく生きろ」という力強い台詞。君らしくなんて、現代ではありふれた言葉なのかもしれません。けれど、自身の幸せのために生きられない、あるいは生きる機会を奪われた彼女にとって、その言葉がどれほど重く響いたことか! 彼女に感情移入し、思わず涙腺が緩みました。
後半の戦闘シーンの描写も臨場感に溢れ、読んでいて終始ハラハラドキドキさせられ、最後には、新たな旅の始まりを予感させる、爽やかな読後感へと導かれました。すでに続きが読みたいです。この先、悲しい過去をもつヒロインが自身の幸せのために生きられるようになってほしいな、と願わずにはいられませんでした。
2024/12/01 13:42
あやかし・和風ファンタジー
6ページ
完 ・総文字数23,564