ヤバイ教師を期待して拝読したのですが、もはや清々しいほどの悪人ぶりで楽しめました。作中では色々と興味深い彼の持論が展開されますが、特に「矜恃」の話が印象深かったです。恐らく物語の根幹になる部分ですよね。彼自身がそれを意図していたのかは分かりませんが、何でも一人で抱えこもうとする主人公に対して、周囲の人間と向き合う勇気をもつことを助長してくれているようにも感じられて、憎めないキャラクターだな、と思ってしまいました。悔しいですね。
学生時代における家庭環境の違いは、人間関係に顕著に表れるので、主人公がコンプレックスに思ってしまうのは痛いほど共感できました。自分でどうにかできる問題ではないからこそ、やりきれないような苦しさがある。思わず過去を思い出してしまうくらい、真に迫った心理描写でした。心が弱っていない時に読むことをおすすめします。