北面の契り






 一曲を吹き終えると、しばらく沈黙が続いた。朝隆が横目で窺うと、輔道は思いのほか穏やかな顔をしていた。


「……悪くないな」

「それだけですか」

「俺は歌の良し悪しなど分からん。ただ――」


 輔道は言葉を選ぶように、少し間を置いた。

「俺の吹く音とは、まるで違う。こんな音が、この世にあったのかと思っただけだ」


 不器用な賛辞だったが、朝隆の胸には存外深く染みた。誰かに認められたいと望んだことなど、これまでなかったはずなのに。