詰所に戻った朝隆は、輔道にその顛末を語った。多くは語らなかったが、縁談そのものを断ったわけではなく、時を稼いだだけだということは伝わったはずだった。
「……猶予を得ただけです。いずれは、決めねばならないことでしょう」
輔道は何も言わなかった。ただ、いつもより長く朝隆の顔を見つめていた。
「輔道殿?」
「……何でもない」
輔道はそう言って視線を逸らしたが、その耳が、わずかに赤らんでいるように見えたのは、月明かりのせいだけではなかったのかもしれない。
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