『優太、ごめんね。なんか最近、体調悪くて。これからは学校までお母さんに送ってもらうことにしたの』
布団に包まり何度も寝返りを打ちながら、やっと打ち込めた一文。
目を閉じ、送信ボタンを強く押し込み、確認画面を目にした途端に、次は電源切りボタンに触れる。
もう、何も見たくなくて。
気遣いの返信も、無意識に見てしまう優太の写メも、待ち受けになってある家族写真も。
全部、嫌だ。
別にいいじゃない。私たち、別に付き合っていたわけじゃないし。ただ祠の前で一緒にいて、同じ高校だから登下校していただけの関係なんだし。
大体、修正後の人生では二人で遊びにすら行ってないんだし。断ったのは私じゃない? 澪を引き合わせたのは、私でしょう?
……頭では分かってるよ。だけど。
ごめん。私この先、優太と顔合わせて文句言わない自信ないの。
だから、さようなら。
町がクリスマス色に染まる頃。私は車の助手席からその景色を眺める。
お母さんに高校への送り迎えをしてもらうようになり一ヶ月が過ぎて、まもなく冬休みが来る。
優太は思った通り、体調について聞いてくれるけど、私は大丈夫の一点張りを通した。
これ以上、優しくされるのって辛いから……ね。
「ありがとう」
車から降りて空を見上げると、全体的に暗い灰色に覆われていて、いつまでも晴れてくれない私のモヤのようだった。
そんな空模様にもうすぐ雪が降るなと十七歳の私が呆けていると、ヒュウーと風は唸り、持ち帰ってきた水墨画の絵を取られパラパラと舞い上がっていく。
「ま、待って!」
そんな言葉、無機質な物に通じるはずもなく、吹き飛ばされていく光景に絶望した時。颯爽とした一つの影が通り過ぎて行き、画用紙をかき集めてくれる。
「……これ」
差し出された手は時折震えていて顔を上げると、目の前には頬も鼻も赤くした優太がいつもの笑顔で私を見下ろしてくれていた。
「あ、ありがとう」
「うん。花梨さ、最近……」
「じゃあね」
そう返し、玄関に向かっていくのは、十七歳の私。
もう人格の入れ替えは必要ないみたい。だって私は、優太と澪がクリスマスイブに出掛けること知ってるもんね。
そりゃ、顔なんか合わせたくないよね。
「ちょっと、花梨! ……ごめんね、優太くん」
お母さんの声を背中で聞き、私は持たされている家の鍵を学生鞄から出して開けて入る。
もう、声すら聞きたくない。その一心で。
布団に包まり何度も寝返りを打ちながら、やっと打ち込めた一文。
目を閉じ、送信ボタンを強く押し込み、確認画面を目にした途端に、次は電源切りボタンに触れる。
もう、何も見たくなくて。
気遣いの返信も、無意識に見てしまう優太の写メも、待ち受けになってある家族写真も。
全部、嫌だ。
別にいいじゃない。私たち、別に付き合っていたわけじゃないし。ただ祠の前で一緒にいて、同じ高校だから登下校していただけの関係なんだし。
大体、修正後の人生では二人で遊びにすら行ってないんだし。断ったのは私じゃない? 澪を引き合わせたのは、私でしょう?
……頭では分かってるよ。だけど。
ごめん。私この先、優太と顔合わせて文句言わない自信ないの。
だから、さようなら。
町がクリスマス色に染まる頃。私は車の助手席からその景色を眺める。
お母さんに高校への送り迎えをしてもらうようになり一ヶ月が過ぎて、まもなく冬休みが来る。
優太は思った通り、体調について聞いてくれるけど、私は大丈夫の一点張りを通した。
これ以上、優しくされるのって辛いから……ね。
「ありがとう」
車から降りて空を見上げると、全体的に暗い灰色に覆われていて、いつまでも晴れてくれない私のモヤのようだった。
そんな空模様にもうすぐ雪が降るなと十七歳の私が呆けていると、ヒュウーと風は唸り、持ち帰ってきた水墨画の絵を取られパラパラと舞い上がっていく。
「ま、待って!」
そんな言葉、無機質な物に通じるはずもなく、吹き飛ばされていく光景に絶望した時。颯爽とした一つの影が通り過ぎて行き、画用紙をかき集めてくれる。
「……これ」
差し出された手は時折震えていて顔を上げると、目の前には頬も鼻も赤くした優太がいつもの笑顔で私を見下ろしてくれていた。
「あ、ありがとう」
「うん。花梨さ、最近……」
「じゃあね」
そう返し、玄関に向かっていくのは、十七歳の私。
もう人格の入れ替えは必要ないみたい。だって私は、優太と澪がクリスマスイブに出掛けること知ってるもんね。
そりゃ、顔なんか合わせたくないよね。
「ちょっと、花梨! ……ごめんね、優太くん」
お母さんの声を背中で聞き、私は持たされている家の鍵を学生鞄から出して開けて入る。
もう、声すら聞きたくない。その一心で。



