さよならの記憶写真館

 雪がチラチラと降り始めた、聖なる夜。
 リクエストして作ってもらった、クリスマスディナーのチーズたっぷりピザトースト。大好きな甘いコーヒーと共に、パクパクと食べる。
 高校生のクリスマスなんて子供の頃みたいにケーキ買ってきてパーティとかしないし、ましてや仕事の父とデートに行く妹とで家には母と二人しかいないし、普通でも全然良かったんだけどね。

「……ねえ、優太くんと澪、二人にして良かったの?」
 突然出てきた優太の名前に、ピザパンのチーズを垂らしてしまう、十七歳の私。

「別に関係ないし! 今頃、ツリー見てるんじゃないの!」
 無関心を装いたいのにどうにも声が裏返ってしまう私は、コーヒーをガブガブと飲み「熱っ」と声を出す。

「そうやって自分の幸せ遠ざけるの、やめなさい。お母さんはね……」

 ガチャガチャガチャ。バンッ。
 玄関ドアの鍵を開錠する音と、ドアが開く音があまりにも乱暴で、お母さんは私の前に立つけど、階段を登っていく軽い足音に二人で顔を合わせて溜息を吐く。
 それは体重が軽くて運動慣れしている澪のもので、侵入者とかではないと安堵するけど、まだザワザワとした空気感が漂う。
 澪……?

「待って、お母さんが行くから。ピザ、硬くなる前に食べちゃいなさい」
 立ち上がった私の肩をポンポンと叩き、お母さんがパタパタと階段を駆け上がっていく。
 一人残された私はカーテンをそっと開け、空を見上げていた。
 あ、そっか。また、二人の秘密が出来たんだろなって。