さよならの記憶写真館

 どうやって二人を取り持つべきか?
 そう悩んでいた、十一月上旬。昼夜によって寒暖差が出てきた頃、中間テストが終わってひと段落ついた夜に私の部屋にノック音が響く。

「あのさ、優太と出かけたいと思うけど、良いかなぁ?」
 話は突然と転がってきた。
 二人だけで出掛けて良いかっていう。
 澪はすごいな、優太と幼馴染である私の気持ちを考えて真正面から話してくれる。過去の私なんて舞い上がって、そんな配慮出来なかったのにね。

「全然、いいし! ショッピングモールとかは?」
 電車で一時間ほどの地方都市にあるモールで、優太の好きな望遠鏡専門店がある。
 既にデートプランを決めていたくせに、どうにも吃ってしまう私は、まだ覚悟が決まっていないということなのだろう。

「ありがとう。早速、メールしてみるね」
 あくびを装って小さく溜息を吐き呆けていると、隣では携帯をカチカチ操作させていて思わず視線を向けてしまうと、可愛い文章に動く絵文字を多用したメール文が出来ていた。
 ……すごいな。
 そんな考えと共に、ザワザワとしたものが湧き立っていく。
 おそらく私なら、ウダウダ言いながら数日かかるだろう。だけど澪は、それを数分でやってしまう。
 姉妹なのに、なんでこんなに違うんだろうね。


「お姉ちゃん!」
 日曜日の夜。メールから一日経った頃に、澪がノックの返事を待つこともなく入ってきた。
 また突然の人格入れ替えに体がフラつくも、瞬時に対応出来るようになったのは、この過去修正で得た唯一のものかもしれない。

「聞いて! 優太オッケーだって!」
「そっか、やった! 良かったねー!」
 感情を消す方法も、習得出来たらいいのにね。
 不自然なほどに張り上げた声を抑えながら、不意に思ってしまう。
 そっか、そうだよね、
 何だろう、この水の中に沈んでいく感じは。
 どんどん周りが暗くなっていって、息苦しくて、這い上がっていけないような恐怖があって。
 もう地上には戻れないよ、と言われているような気がして。
 何考えてるの? 断ってくれないかとか、期待していたの?
 自分で離しておいて、何言ってるの?
 あのショッピングモールにしたのは、二人の思い出の場所にして欲しかったから、だよね?
 本当、行動と感情が伴わないことほど辛いことはないね。