さよならの記憶写真館

 チリン、チリン。
 鈴の音が聞こえた瞬間、膝から崩れ落ちそうになった私は隣に歩いていた優太に当たってしまった。

「ご、ごめんなさい!」
 結果、バランスを崩した優太まで一緒に転けてしまい、なんとも傍迷惑な主人格の入れ替えとなってしまった。

「膝、血が……」
「いつものことだから」
 運動が苦手な私はよく転び、膝なんて治らず古傷だらけ。
 何度も人格入れ替えしてもらってるのに一向に慣れないのは、その鈍臭さからだろう。

「まだ、具合悪い?」
 私は先程まで頭が痛くて、そのことを心配してくれているみたい。

「ありがとう。ごめんね、もう大丈夫だよ」
 ニコッと笑って見せた私は、スタスタと歩いてみせる。

 そうだよ。もう、大丈夫。
 思い出に浸っていた、一際の楽しい時間は終わり。
 だって。

「そういえばさ、絵画展って七月までだって言ってたよね? いつ行く、予定なの?」
 夏休みの部活予定を話し合っていて、全然会えないと分かった後の会話。その時は、菜穂の都合が悪くて美術展に行けないと話して、それが夏休みを共にするキッカケとなって、だから……。

「夏休み初日だよ」
 優太と顔を見合わせないように、私は珍しく前を歩く。

「気を付けて。ほら、乗り換えとか複雑みたいだし」
「菜穂が居るから大丈夫だよー」
「あ、そっか。良かったよ」
 背中に聞く、安堵の声。私たちの歴史が変わった瞬間。
 あの楽しかった一日は、これで消滅する運命となった。それから先の出来事も。

 ……これで良いんだよ。夏休み明け、急に行けなくなっちゃったって言えば、それで。夏休みは優太と全く会えなくなっちゃうけど、それで。