さよならの記憶写真館

 シャッター音と共に場面はどんどんと切り替わっていき、梅雨のシトシト雨が祠を守る屋根下で濡れないように身を寄せ合い、次は真夏の太陽に直接浴びないようにして、高くなっていく茜色の夕陽を眺めて、雪が降る中温かな水筒のお茶を分け合い、季節は巡っていく。

 祠に向かって行く私の足取りは軽く、学校での出来事や行事、菜穂と入部した美術部の活動や新たな友達と話は明るく、中学生の頃とはすっかり様変わりしていた。
 環境と友達が変われば、世界は変わる。……中学生の私に伝えたかったな。

 一方優太は、学校での行事や部活、今日の出来事。おじさんおばさんとのことを、楽しそうに話してくれ。あれから塞ぎ込むことはなくなった。
 修正前の私達はあまり話さなかったはずだけど、とにかく今は会話が尽きることがない。私の通学時間がかかるから会う時間も減っていく中、空を見上げながら時間が止まってくれたら思いながら、束の間の時を過ごしていた。

「そろそろ帰らないとね」
 冬の太陽はとにかく早足で、気づけば周囲は真っ暗。
 まだスマホに買い替えていない携帯の灯りを頼りに、いつものように優太の袖を借りて一緒に石段で出来た階段を降っていく。

「じゃあ、また」
「……またね」
 最後の石段から安定した道路に足をつけると、私は柔らかな袖からそっと手を離し、優太に早く帰ってもらう為に、街頭に照らされた道を小走りする。

 私たちは隣人なのに一緒に帰らない。誰かに見られたらと思うと、……ね。
 だから私が先を歩き、優太は五メートル後ろから付いていくようにして、たまたま同じ時間帯に帰る隣人を装う。
 自意識過剰とか思われそうだけど、私たちが暮らすのは田舎町。中学校という閉鎖空間で、優太が面白おかしく噂されるのは耐えられなかった。……美術部で悪評を立てた私と一緒にいるなんて知られたら。
 優太は知ってか知らずか、周囲の目を気にしている私の横から後ろへと場所を変え、自然と祠に続く階段前で別れるようになった。
 優太は私を必ず先に帰してくれた。年齢的には私の方が年上なのにね。
 家の外壁が見えてくるとどこか物悲しくて、玄関ドアに続く階段に登る前、無関心を装いながら周囲を見渡し、人影が一つならそこに向かって小さく手を振る。
 振り返してくれるその仕草まで好きで、冷たい手をギュッと握った私は、その姿をひたすらに焼き付けていた。