「私さ、山方高校受験しようと思ってるんだ」
中学三年生の初秋。部活を引退し受験シーズンに入った頃、いつもの祠で十五歳の私がそう話していた。
五枚目の記憶写真は、優太と私が並んで話をしていた場面。消えなかった過去に思いを馳せながら、ただそのやり取りを眺めていた。
「え? たしか山方高校って、山越して行くから結構遠いよね?」
「うん。そうなんだけどあの高校、文化部に力入れてるみたいだから。……私、高校卒業したらデザインとかが学べる短大に行きたいかなぁ……って」
この時のことは覚えている。初めて将来の夢を話したことによる羞恥に、現実が見えてないと思われる恐怖、言葉にしなくても内心笑われているんじゃないかと顔が熱くなっていったのが忘れられなかったな。
「え? すごく良いじゃん! 入賞した絵もすごかったし、絶対勉強した方が良いって! おじさんおばさんに話した?」
優太は私の夢を肯定してくれて、そう聞いてくれた。
うん、過去と同じ。だけど違うのは会話の多さだった。
私たちは一緒にいてもあまり話さず、ただ空を見上げていることもあったけど、今は互いの口数も増え学校のこと、部活のこと、私の受験勉強のことを話していた。
柔らかな秋風が吹けば胸元までの髪がふわっと揺れ、慣れた手付きで耳元にかけている。
髪、切らなかったんだな私。
憂のない話し方から、あれから由衣とぶつかって自分の絵と髪を守ったのだろう。……まあ、美術部の子ともそれきりっぽいけど。
そして今の優太の言葉で分かった。コンクール入賞したんだ。
失ってしまった過去もあったけど、得た未来もあった。
ただ一緒にいるのも穏やかで好きだったけど、話が出来る今も好きだよ。
長年一緒にいたから分かったつもりでいたけど、優太のこと全然知らなかったんだなぁって。
中学三年生の初秋。部活を引退し受験シーズンに入った頃、いつもの祠で十五歳の私がそう話していた。
五枚目の記憶写真は、優太と私が並んで話をしていた場面。消えなかった過去に思いを馳せながら、ただそのやり取りを眺めていた。
「え? たしか山方高校って、山越して行くから結構遠いよね?」
「うん。そうなんだけどあの高校、文化部に力入れてるみたいだから。……私、高校卒業したらデザインとかが学べる短大に行きたいかなぁ……って」
この時のことは覚えている。初めて将来の夢を話したことによる羞恥に、現実が見えてないと思われる恐怖、言葉にしなくても内心笑われているんじゃないかと顔が熱くなっていったのが忘れられなかったな。
「え? すごく良いじゃん! 入賞した絵もすごかったし、絶対勉強した方が良いって! おじさんおばさんに話した?」
優太は私の夢を肯定してくれて、そう聞いてくれた。
うん、過去と同じ。だけど違うのは会話の多さだった。
私たちは一緒にいてもあまり話さず、ただ空を見上げていることもあったけど、今は互いの口数も増え学校のこと、部活のこと、私の受験勉強のことを話していた。
柔らかな秋風が吹けば胸元までの髪がふわっと揺れ、慣れた手付きで耳元にかけている。
髪、切らなかったんだな私。
憂のない話し方から、あれから由衣とぶつかって自分の絵と髪を守ったのだろう。……まあ、美術部の子ともそれきりっぽいけど。
そして今の優太の言葉で分かった。コンクール入賞したんだ。
失ってしまった過去もあったけど、得た未来もあった。
ただ一緒にいるのも穏やかで好きだったけど、話が出来る今も好きだよ。
長年一緒にいたから分かったつもりでいたけど、優太のこと全然知らなかったんだなぁって。



