その後に続く写真は祠をバックにした写真が並んでいて、一見すると同じものだけど、私たちの制服は夏仕様のブラウスになり、また標準仕様に戻り、私はセーラー服から紺のブレザーになり、優太も同じ制服になり、祠の写真はなくなっていた。
私が高校二年生の時、一つ年下の優太が同じ学校に入学してきたからだった。
今まで人目を気にして祠で会っていたけど、バス通で同じ停留所にいるのに別々にいるのも逆におかしいよねと、一緒に通い始めた。
夕陽をバックに制服姿の私たちが歩いている写真があった。
続いていく額縁にはラフなTシャツとデニムを流行りにそって着こなす夫に、それにそぐわない地味な格好な私。二人で絵画を眺めていて、ショッピングモールに二人で行った記憶が蘇る。
あの時、大変だったな。
時間が経てば当時のトラブルも笑い話になるのだと目を逸らした私は、次に続く写真を眺めていく。
うさぎの着ぐるみと共に写る優太と私の姿があって、当時流行りだったフワッとゆるい白ノースリーブに長めのカーデガンを羽織って、膝上デニムに黒のハイソックスを履いていた。
ああ、地味だったことに後悔して頑張ったんだったな。
菜穂のおかげだったな。
たった一人の友達、小林菜穂の姿がフッと過っていく。
この日はウサウサという、私の好きなキャラクターが子ども向けの遊園地に遊びにくるイベントがあり、一緒に行ってくれたんだったよな。
この後にも写真は続いていくけど私はどこまでも笑い合っていて、本当に楽しくて優太のこと大好きだったんだなって痛いほどに伝わってくるほどの笑顔だった。
楽しかったな。でもね、一緒に出掛けるのは私じゃないよ。だから。
「次は、この記憶写真を修正します」
指差した先は、絵画を眺めて笑い合っている写真。
高校二年生の夏休み、同じ美術部だった菜穂と一緒に絵画展に行く予定だったけど菜穂の都合が悪くなり、代わりに優太が行くって言ってくれたんだった。
それをキッカケに秋には遊園地に行ったり、クリスマスにはツリーを見に行ったり、画材道具を見に行くのに付き合ってくれたりしたんだった。
だからその相手を澪にしたら二人の関係が変わり、付き合い結婚する未来に繋がっていくかもしれない。
だから、私は。
「花梨、ムリしてないかニャ?」
「……え?」
「優太と澪ちゃんを仲良くさせるのは花梨だニャ。知らんぷりはできないニャアよ」
うん、そうだね。私が優太から離れても二人は結婚する未来に繋がらなかった。つまり誰かが二人の仲を取り持たなければならない。……私がね。
「支配人さん。過去修正の説明をしてくれた時、言ってくれましたよね? 過去を変えた先の未来を、受け入れる覚悟があるかを」
「はい」
「情けないことに全然ありませんでした。私が優太から離れた後は、澪と優太が結婚する未来に変わって終わるから私は何も目の当たりにせず済むと思ってました。だから二人を引き合わせないといけない現実に動揺し、行動が取れませんでした。私の覚悟がなかったからです」
顔を横に向ければ、写ってある家族四人の写真。
家のリビングソファに座ってて、優太が椿を抱き上げ私が柚花を縦抱きしている。
たしか、私の治療が一段落して通院治療に切り替わったことにより退院した日。澪が率先して撮ってくれたんだった。
これは実際のアルバムにもあり、私はスマホの待ち受け画面にしてずっとお守りとして持っていた。
……ここから私が消えて、澪が家族写真に写ることになったら過去修正は成功となる。
それを見届ける、覚悟。
「ありがとう、クロちゃん。私はもう大丈夫だから。支配人さん、私を過去の世界に送ってくれませんか?」
「はい、行きましょう」
促されるまま撮影用の椅子に座りカメラを向けられ表情が強張ると、クロちゃんがピョンと私の膝に乗り「ウニャ」と体をコロコロさせてくる。
パシャ。
眩しい光りに包まれると、また魂が吸い込まれていく感覚に身を置きながらフッと一つの考えが過った。
未来が変わった時、私の魂は原型を留めていられるのだろうかと。
私が高校二年生の時、一つ年下の優太が同じ学校に入学してきたからだった。
今まで人目を気にして祠で会っていたけど、バス通で同じ停留所にいるのに別々にいるのも逆におかしいよねと、一緒に通い始めた。
夕陽をバックに制服姿の私たちが歩いている写真があった。
続いていく額縁にはラフなTシャツとデニムを流行りにそって着こなす夫に、それにそぐわない地味な格好な私。二人で絵画を眺めていて、ショッピングモールに二人で行った記憶が蘇る。
あの時、大変だったな。
時間が経てば当時のトラブルも笑い話になるのだと目を逸らした私は、次に続く写真を眺めていく。
うさぎの着ぐるみと共に写る優太と私の姿があって、当時流行りだったフワッとゆるい白ノースリーブに長めのカーデガンを羽織って、膝上デニムに黒のハイソックスを履いていた。
ああ、地味だったことに後悔して頑張ったんだったな。
菜穂のおかげだったな。
たった一人の友達、小林菜穂の姿がフッと過っていく。
この日はウサウサという、私の好きなキャラクターが子ども向けの遊園地に遊びにくるイベントがあり、一緒に行ってくれたんだったよな。
この後にも写真は続いていくけど私はどこまでも笑い合っていて、本当に楽しくて優太のこと大好きだったんだなって痛いほどに伝わってくるほどの笑顔だった。
楽しかったな。でもね、一緒に出掛けるのは私じゃないよ。だから。
「次は、この記憶写真を修正します」
指差した先は、絵画を眺めて笑い合っている写真。
高校二年生の夏休み、同じ美術部だった菜穂と一緒に絵画展に行く予定だったけど菜穂の都合が悪くなり、代わりに優太が行くって言ってくれたんだった。
それをキッカケに秋には遊園地に行ったり、クリスマスにはツリーを見に行ったり、画材道具を見に行くのに付き合ってくれたりしたんだった。
だからその相手を澪にしたら二人の関係が変わり、付き合い結婚する未来に繋がっていくかもしれない。
だから、私は。
「花梨、ムリしてないかニャ?」
「……え?」
「優太と澪ちゃんを仲良くさせるのは花梨だニャ。知らんぷりはできないニャアよ」
うん、そうだね。私が優太から離れても二人は結婚する未来に繋がらなかった。つまり誰かが二人の仲を取り持たなければならない。……私がね。
「支配人さん。過去修正の説明をしてくれた時、言ってくれましたよね? 過去を変えた先の未来を、受け入れる覚悟があるかを」
「はい」
「情けないことに全然ありませんでした。私が優太から離れた後は、澪と優太が結婚する未来に変わって終わるから私は何も目の当たりにせず済むと思ってました。だから二人を引き合わせないといけない現実に動揺し、行動が取れませんでした。私の覚悟がなかったからです」
顔を横に向ければ、写ってある家族四人の写真。
家のリビングソファに座ってて、優太が椿を抱き上げ私が柚花を縦抱きしている。
たしか、私の治療が一段落して通院治療に切り替わったことにより退院した日。澪が率先して撮ってくれたんだった。
これは実際のアルバムにもあり、私はスマホの待ち受け画面にしてずっとお守りとして持っていた。
……ここから私が消えて、澪が家族写真に写ることになったら過去修正は成功となる。
それを見届ける、覚悟。
「ありがとう、クロちゃん。私はもう大丈夫だから。支配人さん、私を過去の世界に送ってくれませんか?」
「はい、行きましょう」
促されるまま撮影用の椅子に座りカメラを向けられ表情が強張ると、クロちゃんがピョンと私の膝に乗り「ウニャ」と体をコロコロさせてくる。
パシャ。
眩しい光りに包まれると、また魂が吸い込まれていく感覚に身を置きながらフッと一つの考えが過った。
未来が変わった時、私の魂は原型を留めていられるのだろうかと。



