さよならの記憶写真館

 優太と再会した次の日、二階の教室窓から登校してくる生徒たちを眺めていた。
 現在は期末テスト前で部活動は休止中。部活がない時は澪と優太は一緒に登下校をしていて、私はあえて対面しないように時間をズラしていた。
 学校で勉強した方がはかどるとか、無理に理由をつけて。
 八時前、部活用のウインドブレーカーを着たスラっと背が高い女子はすぐに分かり、同時にその横にいる男子が優太だと分かった。
 目的は一つ。二人が今どれぐらい仲が良いのか関係性を計ることだ。
 澪の片想いか、それとも……。
 覚悟していたはずなのにパキッとひび割れる胸は痛いが、目を凝らして優太を見つめる。
 状況によっては私が二人の仲を取り持たなければならない。そんな思いで。

 澪の隣を歩く優太はよく笑っていて、死んで初めて視力が良い自分を呪った。
 すごく仲良いな。これだったら私なんかいなくても、自然と結婚するんじゃないの? だって二人は、運命で結ばれているんだから。
 ……あ、れ?
 やたら大笑いして、やたら前髪を触って、空を見上げていて。この顔って。
 
「何、ヌボッとしてんの?」
 耳元で囁かれた声に本能的に身構えるとそこに居たのは由衣で、私の頬に貼られたガーゼを見た途端に笑っていた。

「……あ、だから美容院行けなくてさー。だから、傷が治ってからになりそうかな?」
「はぁー? ま、いっかぁ。この顔ウケるし、って言うか傷残るんじゃない?」
 もはや隠そうともしない悪意に、私はただ一緒に笑うしかなかった。
 怪我して良かったかもしれない。そんなことを思いながら。