さよならの記憶写真館

 祠に続く山道が、桜色に彩られる頃。
 小学校を卒業した澪と優太は、中学校に入学してきた。
 それは登下校の時間が同じになるということで、それが分かっていた私は早々に対応をしていた。
 美術部は二年生から自主的に朝の活動をして良いと決まっていて、私は早速その決まりを活用していた。
 少しでもデッサンがしたい。そんな理由をつけて。
 向き合って描く石膏像を眺めながら、眉、目、口元という表情によって変わる部分をより観察し、スケッチブックに一本、一本と鉛筆で線を繋いでいく。
 穏やかな顔。私も、こうなれたら良いのにな。

 澪は期待の新人だと陸上部で騒がれていることとか、その姉が私だと分かった時の周りの反応とか、美術室の窓から見える二人が並んで歩く姿があまりにも慣れ親しんでいて胸がざわついたりとか。
 その度に私は崩れそうな顔を隠し、笑顔の仮面を被っていた。
 だって、澪の姉なんだから。

 由衣と同じクラスになったことで、より息苦しくなった学校。そこで見つけた、もう一つの安らぎの空間。生徒が居ない、美術準備室。
 絵を描いている時だけは、ここが学校だということを忘れて、目の前のことに集中出来た。