さよならの記憶写真館

『私ら、先に帰るね』
『あんまり、根詰めないようにね?』
『ありがとう、また明日ね』
 わざわざ挨拶に来てくれた同じ美術部員の子に小さく手を振り、私はまたスケッチブックに向き合う。
 私が所属していた美術部は個性を重んじていて、活動の開始時間だけみんなで集まれば、終了時間前でも帰ってもいい。みんなでわいわい絵が描ける美術室、静かに描ける美術準備室と分けてあり、好きな場所で絵を描いてよく。コンクールに作品を出すのも自由だった。
 だけどそんな美術部にも当然約束ごとがあり、それは「人の構想を盗るのは禁止」というルールで、悪質だと判断されると最悪退部させられるという鉄の掟だった。

『ねえねえ、夏休みどーする?』
『モールとかで服買っちゃう?』
『やば〜、着てく服ないわぁ!』
 楽しそうな声にキャハハハという笑い声まで追加され、私の心は締め付けられていく。
 美術部の子たちとは円満な関係を築いていたけど、それは仲間としてであり友達ではない。
 まあ幼稚園の時みたいに笑われていたことを思い返せば、全然良い方だとは思うけどね。

 仮入部期間が終わって、これからより一層活動出来る一年生の夏休み。
 部活は自由参加だけど私は通い詰めると決めていて、その目標は絵画コンクールで受賞することだった。
 強い意志と目標があったからこそ私は、中学校生活をなんとか頑張っていけたんだと思う。

 そんな生活を送っていた十一月。年度途中という時が珍しい時期だった、彼女が美術部に途中入部してきたのは。