私たち三人が幼馴染として仲良くなったのは、やっぱり母親同士の仲が良かったからだと思う。
出身地は違うけど同じ年で、高年齢出産をしているという共通点があって、子どもが同級生同士で、しかも誕生日が同じで、同じ病室で入院してて、分娩室まで隣同士で、今度は隣人同士になるなんて。
話をしていく中でどんどんと共通点が見つかっていったみたいで、もう神様か何かが選んだ運命みたいだと笑い合っていた。
でも、実際にそうだと思う。
母とおばさん。そして同じ日に生まれた、澪と優太も。
あれは私が幼稚園の年中児だった頃。
一つ年下の二人が幼稚園に入園して一年が経とうとしていた、春休み前の三月十八日の出来事だったと思う。
『澪ちゃんと優太くん、今日、誕生日だよね?』
『同じ日に生まれたって運命だよねー!』
『大人になったら、結婚するのかなぁ?』
そんな話を耳打ちして「きゃあー!」と叫ぶ女の子たち。
そんな噂話を遊戯室の隅で一人聞いていた私はその話に入ることも、ハンカチ落としをしている子たちの輪にも、園庭で遊んでいる子に合流することなく、ただ青い空を見上げていた。
私たちが住んでいる町は田舎寄りで、通っていた幼稚園は小規模でだった。
一学年は二、三十人ぐらいしか居ないこじんまりとした場所だったのに、人見知りな性格がどこまでも災いして友達を作ることが出来なかった。
『待てぇー!』
園庭を笑いながら走っている年少児と思われる幼児たちと、それを笑いながら追いかける澪。
澪は小さい頃から活発のしっかり者で、クラスのみんなを引っ張ってくれるリーダーみたいな存在だった。
みんながやりたがない鬼ごっこの鬼とかも積極的にやり、人望も友達が多く、私はいつもその背中を眺めているだけだった。
なんで姉妹なのに、ここまで違うんだろう?
目をキュッと閉じ唇を噛み締めといると、そんな私の横にちょこんと座るのはいつもと同じ男の子。
澪と同じく年少さんとして入園してきた優太で、小さい頃は運動や話すのが苦手だったようで、みんなで遊ぶより傍観している方が好きみたいだった。
自由時間は、年少、年中、年長が合流し、交流を持って良かった。
私は幼稚園のこの時間が一番好きで、いつも優太と何を話すでもなく、みんなが楽しく遊んでい姿を膝を抱えて見ていた。
ニコッと笑えば、ニコッと返す。
手を握れば、握り返す。
相手が泣けば、一緒に泣く。
一心同体という言葉が当てはまるぐらいに私たちは互いの心が分かっていて、シンパシーみたいなものを感じていた。
『空はね、その時にしか見せない顔があるんだよ』
空の形が昨日と違うと口にすると、優太はそう教えてくれた。
『だから、今の空にはもう会えないんだよ』
優太は空が好きな男の子で、空の図鑑をいつも持ち歩いていて、いつも雲の流れを眺めていた。
見上げるその顔がどこか淋しげで、私は自分のロッカーの奥に隠していた絵かき帳とクレヨンを持ってきて、白い紙を水色に彩っていく。
『すごい、空だぁ!』
私は物心着く頃から絵を描くのが好きで、自由時間は絵を描いていた。
だけどある出来事によって、ロッカー奥に道具を隠すようになり、絵が描けなくなってしまった。お絵かきの時間も、家でも。
その時に迷惑かけてしまった澪は、「早く次の絵を見せてよ」と言ってくれていたけど、その優しさが余計に苦しくて私はクレヨンを握ることが出来なかった。
だけどどうしても優太に笑ってほしくて、私はひたすらに絵を描いて差し出していた。
『……お誕生日、おめでとう』
『ありがとう。やっぱり花梨の絵、好きだなぁ!』
ニコッと笑いかけてくる優太の顔があまりにもキラキラと輝いていて、私は思わず目を逸らしてしまった。
春先といっても、まだ気候的には肌寒い頃。
顔が紅潮し、全身が一気に熱くなるという、初めての経験に意味が分からなかった私は、ひたすらに絵を描き続けた。
空の絵ばかり描くようになったのは、きっと優太の影響だったのだろう。
出身地は違うけど同じ年で、高年齢出産をしているという共通点があって、子どもが同級生同士で、しかも誕生日が同じで、同じ病室で入院してて、分娩室まで隣同士で、今度は隣人同士になるなんて。
話をしていく中でどんどんと共通点が見つかっていったみたいで、もう神様か何かが選んだ運命みたいだと笑い合っていた。
でも、実際にそうだと思う。
母とおばさん。そして同じ日に生まれた、澪と優太も。
あれは私が幼稚園の年中児だった頃。
一つ年下の二人が幼稚園に入園して一年が経とうとしていた、春休み前の三月十八日の出来事だったと思う。
『澪ちゃんと優太くん、今日、誕生日だよね?』
『同じ日に生まれたって運命だよねー!』
『大人になったら、結婚するのかなぁ?』
そんな話を耳打ちして「きゃあー!」と叫ぶ女の子たち。
そんな噂話を遊戯室の隅で一人聞いていた私はその話に入ることも、ハンカチ落としをしている子たちの輪にも、園庭で遊んでいる子に合流することなく、ただ青い空を見上げていた。
私たちが住んでいる町は田舎寄りで、通っていた幼稚園は小規模でだった。
一学年は二、三十人ぐらいしか居ないこじんまりとした場所だったのに、人見知りな性格がどこまでも災いして友達を作ることが出来なかった。
『待てぇー!』
園庭を笑いながら走っている年少児と思われる幼児たちと、それを笑いながら追いかける澪。
澪は小さい頃から活発のしっかり者で、クラスのみんなを引っ張ってくれるリーダーみたいな存在だった。
みんながやりたがない鬼ごっこの鬼とかも積極的にやり、人望も友達が多く、私はいつもその背中を眺めているだけだった。
なんで姉妹なのに、ここまで違うんだろう?
目をキュッと閉じ唇を噛み締めといると、そんな私の横にちょこんと座るのはいつもと同じ男の子。
澪と同じく年少さんとして入園してきた優太で、小さい頃は運動や話すのが苦手だったようで、みんなで遊ぶより傍観している方が好きみたいだった。
自由時間は、年少、年中、年長が合流し、交流を持って良かった。
私は幼稚園のこの時間が一番好きで、いつも優太と何を話すでもなく、みんなが楽しく遊んでい姿を膝を抱えて見ていた。
ニコッと笑えば、ニコッと返す。
手を握れば、握り返す。
相手が泣けば、一緒に泣く。
一心同体という言葉が当てはまるぐらいに私たちは互いの心が分かっていて、シンパシーみたいなものを感じていた。
『空はね、その時にしか見せない顔があるんだよ』
空の形が昨日と違うと口にすると、優太はそう教えてくれた。
『だから、今の空にはもう会えないんだよ』
優太は空が好きな男の子で、空の図鑑をいつも持ち歩いていて、いつも雲の流れを眺めていた。
見上げるその顔がどこか淋しげで、私は自分のロッカーの奥に隠していた絵かき帳とクレヨンを持ってきて、白い紙を水色に彩っていく。
『すごい、空だぁ!』
私は物心着く頃から絵を描くのが好きで、自由時間は絵を描いていた。
だけどある出来事によって、ロッカー奥に道具を隠すようになり、絵が描けなくなってしまった。お絵かきの時間も、家でも。
その時に迷惑かけてしまった澪は、「早く次の絵を見せてよ」と言ってくれていたけど、その優しさが余計に苦しくて私はクレヨンを握ることが出来なかった。
だけどどうしても優太に笑ってほしくて、私はひたすらに絵を描いて差し出していた。
『……お誕生日、おめでとう』
『ありがとう。やっぱり花梨の絵、好きだなぁ!』
ニコッと笑いかけてくる優太の顔があまりにもキラキラと輝いていて、私は思わず目を逸らしてしまった。
春先といっても、まだ気候的には肌寒い頃。
顔が紅潮し、全身が一気に熱くなるという、初めての経験に意味が分からなかった私は、ひたすらに絵を描き続けた。
空の絵ばかり描くようになったのは、きっと優太の影響だったのだろう。



