心が読める私と秘密を知った彼

 えっ? あれ? ま、間違えた?
 怒られる。秘密を言いふらされる。学校に来れなくなる。どうしよう。
 気付けば頭の中はパニックになっていて、お弁当箱を持っていた手も小さく震えていた。

「……カフェオレは合ってるんだよ。それより俺は、無糖のやつしか認めてねーから」
「え? あ、でも。売店には、これしか売ってなくて……」
 ドクンドクンと鳴り響く心臓を落ち着かせながら、私はなんとか声を絞り出す。

「ふーん。じゃあ、お前飲めよ?」
 そう言い、カフェオレを私の席にポンと置いてきた。

「え? いいの?」
「別にぃ。飲めねーだけだから」
 そう返して席に戻って行き、飲み物なしでカレーパンをかじり始めた。

 喉、乾かないのかな?
 そう思いつつ、もらったカフェオレのストローを差し込み、小さく吸う。
 その瞬間に口に広がる甘い風味。やっぱりこれだな。そう思う。
 チラッと見ると目が合い、あからさまにプイッとして窓側を睨み付けている長谷川くん。
 分かってる。カフェオレくれたのは、いらなかったら。だけど、なんだろう。なんか、嬉しくて。不意に上がってしまいそうな口角を必死に下げ、私は穏やかな昼下がりを一人過ごした。