心が読める私と秘密を知った彼

 二年生の教室がある四階に対し売店は一階にあり、それだけで結構歩く。
 階段を降り生徒用玄関を通り過ぎると、ようやく教室の一部屋を売店スペースにした場所に辿り着く。
 階段を下る中で購入品を持参した生徒たちと多数すれ違っており、カレーパンが残っているかどうかヒヤヒヤしながらパンコーナーに走る。
 メロンパン、焼きそばパン、コロッケパンと共に商品棚に並べられられていたカレーパンは残り一つだけになっており、はぁっと溜息を吐きながら手に取る。
 幸いカフェオレは数があり、飲み物コーナーより一つ手にする。美味しそうだな。
 ……でも前に持参してお弁当と一緒に飲んでいたら、男子に媚びてるとか思われたからそれから持ち込まないようにしている。そうゆうのじゃなくて、単に好きなだけなのに。
 だから学校では、好きなものすら気軽に飲めない。

「またかい?」
 代金を払う為支払い用の机にカレーパンとカフェオレを持参したら、そう声をかけられた。緑のエプロンをした女性はお母さん世代の女性で、「売店のおばちゃん」と親しまれている。

「はい。お昼です」
 ははっと笑って見せた。

「二年の長谷川のね」
「分かります?」
「この、がま口でね」
 財布で誰のか分かるなんて、すごい。改めて親しまれている理由が分かる。

「ん? 飲み物は、これで良いの?」
 お金を払う為にがま口を開けていたら、店員さんはそう聞いてきた。
「……え? はい」
 あれ? カフェオレだよね? 聞き間違えたかな?

「ごめんねぇ、何でもないからねー。はい、お釣り二十円ね」
「ありがとうございます」
 手渡しされた十円玉二枚をがま口に入れ、カレーパンとカフェオレを受け取る。

[あいつも、やるねえ]
 ……え?
 突然聞こえた思念に思わず反応しそうになり、口を噤む。