「俺、転校するわ。お袋に話せば分かってくれるから」
「え? どうしてそんな話になるの?」
「だって。そりゃ。……俺に心聞かれるとか気持ち悪いだろ? 」
だから、力を隠してくれていたんだ?
やだよ。せっかく仲間を見つけたのに。
「ねえ、私達の間では思ったことは全て口に出すと決めない? それなら、普通の人間関係築けるよ」
「全て!」
「うん。どうせ、全て聞こえているのだから。少なくても、裏表はないと思うよ」
私のお守りは小さな小瓶から、大きなあなたに変わっていたと気付いたの。
だからお願い。行かないで。
「……まあな。嘘はないからな。お前がそれで良いなら」
「ありがとう」
あっさり聞き入れてくれたのは、私の心を読んでいてくれるからだろう。
ありがとう。わがまま聞いてくれて。
「家に遊びに行かせて。お母さんと話がしたいの」
「お袋とー! ま、まあ、女同士勝手にしろよ!」
「長谷川くんも一緒に」
「はあー!」
[また、彼女と言われるだろーが!]
あ。それが嫌なんだ。
彼の珍しい思考念に、私は思わず。
「……長谷川くんって、結構可愛いところあるよね?」
「ふざけるな!」
「ごめーん。心で思ったから、口に出しちゃった」
「勝手に言ってろ!」
初めは怖かった尖った声も、全然怖くない。本当は優しいの、知っているから。
すると不意に聞こえてくる、その心。それは。
「……え?」
途端に私の顔は熱くなり、ポッとなってしまう。
「あ、今のは違うから! あー! 調子狂うなー!」
そう叫び髪をぐしゃぐしゃにする仕草に、私はまた見入ってしまい、ふっと考えてしまう。
「あ、今のは違うからー!」
次は私が否定し、見合わせた顔を互いに逸らしてしまう。
思ったことを言葉に出すのは、難しいみたい。
「まあ、少しずつだな」
「……うん」
今日は、二人並んで帰る。
私達は秘密を共有する者同士。それだけで、何だか嬉しかった。



