ピピピピピ。ピピピピピ。
スマホのアラーム音で目を覚ますとカーテンの隙間より強い日差しを感じ、今日も暑くなるのだろうと思わせてくる朝。あの頃の夢なんて久しぶりに見たなと思いつつ、私は体を起こす。
いつも通り背中まである髪をとき、朝の身支度に、朝食を済ませ、鍵をかけて誰もいない家を後にする。
長谷川くんに秘密を知られて一週間が過ぎた。私は毎日、登下校時の鞄持ちに、売店への買い出し、時折頼まれたことをこなしている。そのおかげか能力に関しては誰も気付いておらず、普通の学校生活を送る毎日。
「はぁ……」
しかし、気を抜くと口から出てくるのは大きな溜息。今日は委員長として文化祭のことをみんなに話さないといけない日であり、気が重い。
そのせいか、胃が……。
キリキリと痛む感覚に私は足を止め、その場に座り込んでしまう。だめだ。我慢出来ない。
そう思い、鞄に入っているミニポシェットを開けるけど、いつもの小瓶は入っていなかった。
あ。どうしよう。家に忘れてきたんだ。
この絶望的な状況に、余計に痛みが増してきたお腹を抑え小さくうずくまっていると、色々な記憶が巡ってきた。
『お前のせいで、あんな子が生まれたんだろ?』
『これ以上、厄介かけないでよね』
あ。
お願い、お父さん。お母さんに怒らないで。お母さん。ちゃんと学校に行くから。
しかし、その気持ちとは裏腹に痛みはより強くなってきて、私の体は言うことを聞いてくれない。学校が。クラスが。怖い……。
「おい」
その声に顔を上げようとすると、声をかけてくれた人は屈んで私の顔を覗いてくる。やっぱり、長谷川くんだ。
「やる」
遅れたことには何も触れず。差し出してくれたのは、小さな小瓶とペットボトルの水。それは胃薬で、私がいつも飲んでいるのと同じ物だった。
「どうして?」
「たまたま」
プイッと横向くその姿はどこか作られたような仕草のように感じてしまうほど、ぎこちなかった。
「ありがとう」
その好意に甘えてもらうことにした。この薬は私にとってのお守り。
周りの声に苦しくなったり、今日みたいなプレッシャーがある時に胃が痛くなる私は、これを飲んで乗り越えている。
気持ちの問題もあるのか、飲んだら少しずつ楽になってきた。
「ごめんね。学校に行かないと!」
歩けるぐらい良くなった私は、長谷川くんの荷物を持とうとしたけど、彼はヒョイと頭上にやってしまう。
「……え?」
「学校ダリーな? 今日、休まね?」
そう言いながら、気付けば学校の反対方向に歩き出していた。
「え? 冗談だよね?」
私は、ソワソワしながら付いて行く。
早く行かないと遅刻してしまうと思いながら。
スマホのアラーム音で目を覚ますとカーテンの隙間より強い日差しを感じ、今日も暑くなるのだろうと思わせてくる朝。あの頃の夢なんて久しぶりに見たなと思いつつ、私は体を起こす。
いつも通り背中まである髪をとき、朝の身支度に、朝食を済ませ、鍵をかけて誰もいない家を後にする。
長谷川くんに秘密を知られて一週間が過ぎた。私は毎日、登下校時の鞄持ちに、売店への買い出し、時折頼まれたことをこなしている。そのおかげか能力に関しては誰も気付いておらず、普通の学校生活を送る毎日。
「はぁ……」
しかし、気を抜くと口から出てくるのは大きな溜息。今日は委員長として文化祭のことをみんなに話さないといけない日であり、気が重い。
そのせいか、胃が……。
キリキリと痛む感覚に私は足を止め、その場に座り込んでしまう。だめだ。我慢出来ない。
そう思い、鞄に入っているミニポシェットを開けるけど、いつもの小瓶は入っていなかった。
あ。どうしよう。家に忘れてきたんだ。
この絶望的な状況に、余計に痛みが増してきたお腹を抑え小さくうずくまっていると、色々な記憶が巡ってきた。
『お前のせいで、あんな子が生まれたんだろ?』
『これ以上、厄介かけないでよね』
あ。
お願い、お父さん。お母さんに怒らないで。お母さん。ちゃんと学校に行くから。
しかし、その気持ちとは裏腹に痛みはより強くなってきて、私の体は言うことを聞いてくれない。学校が。クラスが。怖い……。
「おい」
その声に顔を上げようとすると、声をかけてくれた人は屈んで私の顔を覗いてくる。やっぱり、長谷川くんだ。
「やる」
遅れたことには何も触れず。差し出してくれたのは、小さな小瓶とペットボトルの水。それは胃薬で、私がいつも飲んでいるのと同じ物だった。
「どうして?」
「たまたま」
プイッと横向くその姿はどこか作られたような仕草のように感じてしまうほど、ぎこちなかった。
「ありがとう」
その好意に甘えてもらうことにした。この薬は私にとってのお守り。
周りの声に苦しくなったり、今日みたいなプレッシャーがある時に胃が痛くなる私は、これを飲んで乗り越えている。
気持ちの問題もあるのか、飲んだら少しずつ楽になってきた。
「ごめんね。学校に行かないと!」
歩けるぐらい良くなった私は、長谷川くんの荷物を持とうとしたけど、彼はヒョイと頭上にやってしまう。
「……え?」
「学校ダリーな? 今日、休まね?」
そう言いながら、気付けば学校の反対方向に歩き出していた。
「え? 冗談だよね?」
私は、ソワソワしながら付いて行く。
早く行かないと遅刻してしまうと思いながら。



