駄菓子より甘い瀬野くん

【予想通りの相談】


 家に帰ってすぐ、ピコンとスマホがメールを受け取ったことを知らせてくれる。
「拓実?」
 メールの送り主は、さっきまで一緒に歩いていた幼馴染の内の一人だった。何か伝え忘れたことでもあったのかと疑問に思いながら開くと、そこに並んでいた文字に思わずぷっと吹き出してしまった。

『彰人、デート前にこっちに色々相談してきそうで今から身構えてるわ』

「確かにね」
 酷く納得してしまった僕は、ササッと返事を打ち込み送信ボタンをタップする。

『ありえる』
『よな!』
『なんなら持ち物から当日行くお店まで相談してくる可能性あるよ』
『ある、普通にある』

 なんてったって、あの原田と初めてのデートだ。
 原田のバイト先に彰人が行ったことはあっても、二人でどこかに行くのは初めてらしい。
 そりゃ、彰人も気合入りまくりだろう。
 家の中でクローゼットをひっくり返して服を選ぶ彰人の姿を想像して、思わず笑ってしまう。

 その時、ピコンとまたしても通知が鳴る。しかし、目の前の画面は一切動いていない。確認すると、今のは拓実ではなく彰人からの連絡だったらしい。もう家に着いたのだろうか。
 通知を押すと、サッと別のトーク画面に切り替わる。

『土曜日、服何着ていけばいいと思う?』

 幼馴染グループに送られてきたそのメールに、思わず目を見張る。まさかの予想的中だ。
 そして、個人で送られてきた拓実の『ほらな』という呆れながらも微笑ましさを含む簡潔な言葉に、僕は今度こそ声をあげて笑ってしまった。
 
『困った幼馴染ですな』
『ですな〜』
 拓実に返信すると、一瞬で既読がつき返事が返ってくる。
 
 ——さて、そろそろ困った幼馴染の相談に乗ってあげようかな。
 
 僕は意を決してグループ画面を開き、彰人に対する返事を打ち込んだ。
 きっと今日は、長くなるぞ。



◇◇◇

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☆次回第13話の投稿は9月中旬頃になる予定です