トップノートの香りと君と―焙煎部の恋―


 俺のサンタは乱暴すぎた。
 俺のサンタは小学生のクセして、俺の周囲にいる誰よりも大人だった。
 夏の夜に流れ星を見た後に呟いた泣き言や、秋の物悲しい季節にうっかり語ってしまった本音にmanakiははサンタになろうと決心したのだろうか。
 いじらしい。
 いじらしいけど強引で、乱暴。
 乱暴ゆえに、その結果。
 クリスマスイブに西島先輩の部屋に居る俺。
 カバンの中にはパジャマ替わりのグレイのスエットと洗面用具と珈琲豆。
 あとは焙煎部文庫から借りた一冊の古い文庫だけ。


            L'histoire continue...


 
 manakiに教えてもらった住所を頼りに向かった家に掛かっている表札が【西島】だったことで、俺は混乱した。
「もしや。まさか。でも。きっと。たぶん。おそらく」
 manakiをクリスマスイブに我が家に招待する流れになったことでmanakiを介して彼の母親とやりとりはしていた。
 でもその時に、最後まで苗字を聞けなかったのでうっかりしていた。
 まさかの、まさか。
 manakiのお母さんが玄関から招き入れてくれ、最初に案内された兄の部屋で西島先輩と遭遇することになろうとは夢にも思わなかった。 

「西島先輩…何でここにいるの」
「それこっちの台詞な。ここ俺の家じゃん」
「manakiの兄さん。先輩だったの」
「おまえだったのか。マナのLIME友」