「和葉! 和葉!」
「……え?」
 呼び声に瞼を開くと私は床に着いていて、目の前には私の体を揺する大志さん。気付けば私は、全身より多量の汗を流し息を切らせていた。
「また、すごい声で叫んでたで? 大丈夫か?」
 部屋は大志さんが付けてくれた電球で明るいも、周囲は暗くまだ就寝時間だった。
 どうやら私の叫び声は相当大きかったらしく、大志さんの部屋まで響いていたようだ。
「迷惑かけてごめんなさい……」
「和葉、やっぱり何かあったやろ?」
「……いえ」
 私は首を横に振る。
 全てを話せてしまえたら、どれだけ楽だろう。
 だけど絶対に、それを口にしない。
 それが、私への罰だから。
 そして何より、大志さんに私の本性を知られたくないから。
 ……どこまで身勝手なのだろうか?
 こんな私だから、許されないのだろう。