『四月十九日。なんていうこともない週半ばなのに、学校で授業を受けているだけで、一分一秒が惜しく感じるよ。北海道って、四月でもこんなに寒いんだね。まだ冬みたいだ。でも少しずつ、確実に雪解けに向かっていると思うと、暖かくなって花が咲くまで、雄大な自然の風景を見てみたいな、なんて。
 バスの事故に遭わない未来があればいいって、そんなふうに思ってくれる人と出会えただけで、僕は嬉しいんだ。言うまでもないと思うけど、僕は美雨に生きてほしいし、幸せになってほしい。お互い、誰かの命ばっかり大事にして、おかしいよね。でもさ、好きだからしょうがないよ。……一度好きって言っちゃったら、何回でも言えるね。恥ずかしいけど。何度だって言うよ。僕は美雨のことが好きだって』

『もう、そんなに好きだって言われたら恥ずかしいじゃん! ノート読みながら熱くなってるとこ、お母さんに見られでもしたらたまったもんじゃないね。今日危なかったんだよ。あんまり集中してノートを読んでたからお母さんが部屋の前まで夕飯に呼びに来て、危うく醜態を晒すところだったんだからっ。好きの乱用は禁止!
 桜晴の世界では土曜日だったから、江川くん、安達くんと遊びに行ったよ。街に出て、買い物とボーリング。男の子ってどんなふうに遊ぶんだろって思ってたけど、子供みたいに全力ではしゃぎながら遊べて楽しかった! まあ、瑛奈や和湖といる時も、周りからすれば子供だって思われてるかもしれないんだけどさ。男同士、クサイ話もできたよ〜? 私は本当に友達に恵まれてる。桜晴が人格者のおかげかな?(笑) とにかく今日も楽しかった。ありがとう』

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『四月二十日。江川くんたちとボーリング!? まさか、僕が休日に友達とアクティブに遊びに出かけるなんて、ありえないよ。中学時代の僕なら、絶対に誰も想像できないと思う。きみって本当にすごいし、尊敬する……。僕の方は今日、学校で数学の難しい問題を当てられてどうしようかって困ってたんだけど、じっと考えたらなんと答えが降りてきてね。頭まできみの頭脳に入れ替わったんだと一瞬思ったくらい、びっくりした。きみに影響されて、計画的に勉強できるようになったおかげかな。なんて言ったって、こっちで下手な点数とると、きみの成績に関わるからね。最近はずっと高得点取れてるし、ほっとしてます。明日もうまく立ち回れるように、帰ったら勉強しますよ(笑)』

『桜晴、すごい勉強頑張ってくれてありがとう! 最初はどうなることかと思ったけど、無事にいつもテストで良い点数取れてるみたいだから安心しています。あ、でも気抜いたらダメだよ? 赤点なんて取ったら許さないからね〜?
 私は今日、家族で秋真の野球の試合を見に行きました。秋真、推薦の話をもらってからすごく一生懸命に練習に取り組んでいます。お父さんたちも今まで以上に熱心だよ! でも最近は私——桜晴の進路のことも心配みたいで、しょっちゅう成績のこととか聞いてくる(笑)私、東京の大学をほとんど知らないから、有名大学の名前を適当に志望校にしてるけどさ、すっごい偏差値高いところでびっくりしてたよ。勝手に話をでっちあげてごめんね。また修正しておいて(笑)
 明日からまた月曜日だし、きっと修学旅行の話で持ちきりだよね。
 私は最後まで諦めないからね』