これが俺が知る蒼の死神の姿であり、彼女は決して恐れられる存在ではないと言う事だ。
誰よりも他者の事を想い、死んだ者たちの魂を救うために戦い、仲間を死なせないために戦う彼女の姿は、決して死神などではない。
しかし……時々不安になる事がある。
彼女、アリアは幼い頃からずっと戦い続けてきた。
その中で悲しい別れを経験した事がある彼女が、いつの日か崩れ落ちてしまうのではないかと。
責任、恐怖、孤独、憎悪、そして希望――
それらに似た感情は、いつだってアリアにつき纏っている。
だから不安になる。
それに押し潰されないかと。
☆ ☆ ☆
アビス討伐の任務を終えた私たちは、SEED本部へと帰還した。
「それにしても、さっきはびっくりしたよ~。まさか、アリアちゃんが来てくれるだなんて」
隣を歩いていたサテラは嬉しそうに、私の腕に自分の腕を回すとギュッと抱きついてきた。
そんな彼女の横目で見ながら、私は優しく微笑した。
「本当なら今回の任務は、私とハノスはここで待機している予定だったんですけど、ハノスに緊急の特殊任務の知らせが届いたんです。それで嫌な胸騒ぎがして、みんなと合流できるまでハノスに同行の許可を貰ったんです」
「なるほどなぁ。だからハノスの奴、直ぐに任務に向かったのか。でもあんたが来てくれて、正直助かったぜ。あの状態のアビスを相手にするには、骨が折れるからよぉ。なぁ、ジュース」
私の後ろを歩いているランスさんは、そう言って隣を歩いているジュースの肩に自分の腕を回した。
ジュースは凄く嫌そうな表情で、満面の笑みを浮かべているランスさんを見ながら、深々と溜息をついた。
「しかし、いつまでもアリア様に頼りきりなのはどうかと思います。本来だったら今回の任務は、俺たちだけで遂行しなければならなかったんです。それだと言うのに……」
その言葉を聞いたヨシュアは、顔を青くすると深々と頭を下げた。
「す、すみません! こ、今回は僕が居たせいで……」
ヨシュアは申し訳なさそうにしながら言う。
その姿を見た私は、ちらっとジュースへと目を向ける。私の視線に気がついたジュースは、少し気まずそうに目を逸らした。
そんなジュースに私は内心で溜息をついた後に、ヨシュアへと向き直る。
「ヨシュア。ジュースの言葉は気にしないでください。彼のこれはいつもの事ですから。それに誰もあなたのせいだなんて思ってもいません。むしろ、この部隊に配属されたばかりなのに、アビスの腕を切り落とした腕前はさすがです」
「そうそう! アリアちゃんの言う通りだよ。ジュース先輩はちょ~とどころか、すっごく頭が固い人なのよ。だからヨシュア君は気にしないでいいから」
私たちの言葉にヨシュアは安堵したのか、ほっとして胸を撫でおろした。
「で、でも次が頑張ります! 一人でもアビスを殺せるように!」
そう意気込んでいるヨシュアの頭を、ランスさんが空いている方の手を使ってわしゃわしゃと髪をかき回した。
「おいおい、そんなに一人で意気込むなよ。そんな奴は、ジュース一人で十分だ。それに俺たちはもう仲間だ。だから一人で頑張る必要なんてないんだぁ。辛かったら、いくらでも頼ってくれて構わねぇんだぜ」
「ランスさん……」
ヨシュアは目の前に居る私たちに目を配ると、少し照れくさそうにしながら頬を赤く染めて、小さく頷いて見せた。
そんなヨシュアの姿が少し可愛いなと思っていた時、ジュースがみんなの様子を伺いながらそっと耳打ちしてきた。
誰よりも他者の事を想い、死んだ者たちの魂を救うために戦い、仲間を死なせないために戦う彼女の姿は、決して死神などではない。
しかし……時々不安になる事がある。
彼女、アリアは幼い頃からずっと戦い続けてきた。
その中で悲しい別れを経験した事がある彼女が、いつの日か崩れ落ちてしまうのではないかと。
責任、恐怖、孤独、憎悪、そして希望――
それらに似た感情は、いつだってアリアにつき纏っている。
だから不安になる。
それに押し潰されないかと。
☆ ☆ ☆
アビス討伐の任務を終えた私たちは、SEED本部へと帰還した。
「それにしても、さっきはびっくりしたよ~。まさか、アリアちゃんが来てくれるだなんて」
隣を歩いていたサテラは嬉しそうに、私の腕に自分の腕を回すとギュッと抱きついてきた。
そんな彼女の横目で見ながら、私は優しく微笑した。
「本当なら今回の任務は、私とハノスはここで待機している予定だったんですけど、ハノスに緊急の特殊任務の知らせが届いたんです。それで嫌な胸騒ぎがして、みんなと合流できるまでハノスに同行の許可を貰ったんです」
「なるほどなぁ。だからハノスの奴、直ぐに任務に向かったのか。でもあんたが来てくれて、正直助かったぜ。あの状態のアビスを相手にするには、骨が折れるからよぉ。なぁ、ジュース」
私の後ろを歩いているランスさんは、そう言って隣を歩いているジュースの肩に自分の腕を回した。
ジュースは凄く嫌そうな表情で、満面の笑みを浮かべているランスさんを見ながら、深々と溜息をついた。
「しかし、いつまでもアリア様に頼りきりなのはどうかと思います。本来だったら今回の任務は、俺たちだけで遂行しなければならなかったんです。それだと言うのに……」
その言葉を聞いたヨシュアは、顔を青くすると深々と頭を下げた。
「す、すみません! こ、今回は僕が居たせいで……」
ヨシュアは申し訳なさそうにしながら言う。
その姿を見た私は、ちらっとジュースへと目を向ける。私の視線に気がついたジュースは、少し気まずそうに目を逸らした。
そんなジュースに私は内心で溜息をついた後に、ヨシュアへと向き直る。
「ヨシュア。ジュースの言葉は気にしないでください。彼のこれはいつもの事ですから。それに誰もあなたのせいだなんて思ってもいません。むしろ、この部隊に配属されたばかりなのに、アビスの腕を切り落とした腕前はさすがです」
「そうそう! アリアちゃんの言う通りだよ。ジュース先輩はちょ~とどころか、すっごく頭が固い人なのよ。だからヨシュア君は気にしないでいいから」
私たちの言葉にヨシュアは安堵したのか、ほっとして胸を撫でおろした。
「で、でも次が頑張ります! 一人でもアビスを殺せるように!」
そう意気込んでいるヨシュアの頭を、ランスさんが空いている方の手を使ってわしゃわしゃと髪をかき回した。
「おいおい、そんなに一人で意気込むなよ。そんな奴は、ジュース一人で十分だ。それに俺たちはもう仲間だ。だから一人で頑張る必要なんてないんだぁ。辛かったら、いくらでも頼ってくれて構わねぇんだぜ」
「ランスさん……」
ヨシュアは目の前に居る私たちに目を配ると、少し照れくさそうにしながら頬を赤く染めて、小さく頷いて見せた。
そんなヨシュアの姿が少し可愛いなと思っていた時、ジュースがみんなの様子を伺いながらそっと耳打ちしてきた。