性別、身長、年齢も不明だが、あの人が『蒼の死神』と呼ばれている由縁ってのが、どうやら『蒼の瞳』から来ているらしい。
俺もこの話は人づてに聞いた事だから、本当にそれが由縁なのかって疑問はある。自分のこの目で見たわけじゃないからな。
種結晶の種類はおそらく……『無型』だ。
種結晶の能力は持つ人によって変わり、持ち主にもたらす力の大きさもそれぞれ異なる。
俺が死神さんの種結晶が無型だと考えているのは、さっきの戦闘で見せた時を止めたかのように動いたあの姿を見たからだ。
正直、あの光景に俺は目を見張った。
自分の存在をなかったかのようにし、音や声すらも聞かせない。
本当に『自分の存在を無化』し、大きな鎌を使ってアビスの狩る。
その姿からあの人は『蒼の死神』と呼ばれるようになり、彼らが所属する部隊『SEED第一特務部隊隊長』を務めている。
「ちょっと! 聞いてんの『キース・フェイク』! そこから数ミリでもそっちに入ったら、私たちの居場所があの人たちにバレるんだからね! ちゃんと分かってんの?!」
「あ~はいはい、何度も言われなくても分かってるっての。だからこうしてギリッギリのところで、あいつらの動きを観察しているんだろう?」
「そ、そうだけど近すぎよ! もしあの人たちにここの居場所がバレたら、キースのこと恨んでやるんだからね!」
「おいおい、それはいくら何でも心配しすぎだろ『アマ―リア・ランガ―』。さすがのあいつらでも、ここまで来るのは大変だろう? なんせこの吹雪だしな。逆にあっちは、俺たちが居るかなんて直ぐには分からないさ」
「そ、そうかもしれないけど! 今あそこには蒼の死神も居るんだよ! あの人だったら、この吹雪を無効かしてここまで飛んできちゃうんじゃないの!?」
「あ~……それは有り得そうだな。さっきも力を使って一時的にこの吹雪を止めてアビスを瞬殺してたもんな~」
「ほ、ほら~!!」
俺の話にアマ―リアは目尻に涙を浮かべると、一目散にこの場から走り去ってしまった。
「って、おい! アマ―リア! 冗談を真に受けるなよ!」
いつも俺に何度も騙されているくせに、一体いつになったら学ぶんだよ。
なんて内心で思いながら軽く溜め息を吐いた時、俺はある気配を感じた。
「――っ!」
嫌な気配を感じ取った俺は、直ぐにその場から左に大きくジャンプした。
すると俺が居た場所目掛けて、空から誰かが降って来た。
「な、何だよいきなり!」
吹雪が激しく吹き荒れる中、更に視界が悪くなる。
俺はスコープを操作して、さっき自分が居た場所を観察する。
そして吹雪の中から姿を現した人物を見て目を見張った。
「なっ……お前は!」
吹雪の中から姿を現したのは、さっき死神さんたちと別れははずのハノス・ブランシェット本人だった。
ハノスはこちらへ視線を送ると、じっと俺の事を観察してくる。俺の着ている服の左胸にあるマークを見つけると、敵と判断した目を浮かべた。
その事に気が付いた俺はまずいと思って、直ぐに手帳を鞄の中にしまった。
「ま、まさかあんたがここに来るだなんて思ってもいなかったな。もしかして、死神さんに言われて来たのか?」
「……」
俺の質問にハノスは答える事はせず、大剣を構えると戦闘態勢へと入った。
「答える気ゼロかよ。そんなに無口だと……モテないぜ!」
俺は鞄の中に手を突っ込み、ハノスがこちらへ向かって来たと同時に、自分の足元目掛けて閃光弾を投げ込んだ。
「っ!」
あまりの眩しさに、ハノスは足を止めると目を閉じた。数秒経ってから目を開くと、そこにはもう俺の姿はなかった。
「ここであんたと戦闘する気はないんだ。だから今日のところは見逃してくれよ」
俺は直ぐにこの場から離脱するため、アマ―リアが走って行った場所に向かって自分も走りだした。
「アマ―リアのやつ命拾いしたじゃないか。ふっ、逃げて正解だったよ」
今ここでハノスとやり合うわけには行かない。
今回の俺の任務は死神さんたちの情報収集がメインだ。
もし最悪戦闘になった場合は、直ぐに撤退するように命令が出ている。
「てことで、すまないなハノス。あんたとの戦いは、また今度にとっておくよ」
その言葉を最後に、俺の姿は吹雪の中へと消えて行った。
「……」
その場に一人ぽつんと残されたハノスは、口元に巻いていたマフラーを外すと、さっき見たマークの事を思い出す。
「……NOVA」
と、小さく呟いた彼は、鋭く目を細めたのだった。
俺もこの話は人づてに聞いた事だから、本当にそれが由縁なのかって疑問はある。自分のこの目で見たわけじゃないからな。
種結晶の種類はおそらく……『無型』だ。
種結晶の能力は持つ人によって変わり、持ち主にもたらす力の大きさもそれぞれ異なる。
俺が死神さんの種結晶が無型だと考えているのは、さっきの戦闘で見せた時を止めたかのように動いたあの姿を見たからだ。
正直、あの光景に俺は目を見張った。
自分の存在をなかったかのようにし、音や声すらも聞かせない。
本当に『自分の存在を無化』し、大きな鎌を使ってアビスの狩る。
その姿からあの人は『蒼の死神』と呼ばれるようになり、彼らが所属する部隊『SEED第一特務部隊隊長』を務めている。
「ちょっと! 聞いてんの『キース・フェイク』! そこから数ミリでもそっちに入ったら、私たちの居場所があの人たちにバレるんだからね! ちゃんと分かってんの?!」
「あ~はいはい、何度も言われなくても分かってるっての。だからこうしてギリッギリのところで、あいつらの動きを観察しているんだろう?」
「そ、そうだけど近すぎよ! もしあの人たちにここの居場所がバレたら、キースのこと恨んでやるんだからね!」
「おいおい、それはいくら何でも心配しすぎだろ『アマ―リア・ランガ―』。さすがのあいつらでも、ここまで来るのは大変だろう? なんせこの吹雪だしな。逆にあっちは、俺たちが居るかなんて直ぐには分からないさ」
「そ、そうかもしれないけど! 今あそこには蒼の死神も居るんだよ! あの人だったら、この吹雪を無効かしてここまで飛んできちゃうんじゃないの!?」
「あ~……それは有り得そうだな。さっきも力を使って一時的にこの吹雪を止めてアビスを瞬殺してたもんな~」
「ほ、ほら~!!」
俺の話にアマ―リアは目尻に涙を浮かべると、一目散にこの場から走り去ってしまった。
「って、おい! アマ―リア! 冗談を真に受けるなよ!」
いつも俺に何度も騙されているくせに、一体いつになったら学ぶんだよ。
なんて内心で思いながら軽く溜め息を吐いた時、俺はある気配を感じた。
「――っ!」
嫌な気配を感じ取った俺は、直ぐにその場から左に大きくジャンプした。
すると俺が居た場所目掛けて、空から誰かが降って来た。
「な、何だよいきなり!」
吹雪が激しく吹き荒れる中、更に視界が悪くなる。
俺はスコープを操作して、さっき自分が居た場所を観察する。
そして吹雪の中から姿を現した人物を見て目を見張った。
「なっ……お前は!」
吹雪の中から姿を現したのは、さっき死神さんたちと別れははずのハノス・ブランシェット本人だった。
ハノスはこちらへ視線を送ると、じっと俺の事を観察してくる。俺の着ている服の左胸にあるマークを見つけると、敵と判断した目を浮かべた。
その事に気が付いた俺はまずいと思って、直ぐに手帳を鞄の中にしまった。
「ま、まさかあんたがここに来るだなんて思ってもいなかったな。もしかして、死神さんに言われて来たのか?」
「……」
俺の質問にハノスは答える事はせず、大剣を構えると戦闘態勢へと入った。
「答える気ゼロかよ。そんなに無口だと……モテないぜ!」
俺は鞄の中に手を突っ込み、ハノスがこちらへ向かって来たと同時に、自分の足元目掛けて閃光弾を投げ込んだ。
「っ!」
あまりの眩しさに、ハノスは足を止めると目を閉じた。数秒経ってから目を開くと、そこにはもう俺の姿はなかった。
「ここであんたと戦闘する気はないんだ。だから今日のところは見逃してくれよ」
俺は直ぐにこの場から離脱するため、アマ―リアが走って行った場所に向かって自分も走りだした。
「アマ―リアのやつ命拾いしたじゃないか。ふっ、逃げて正解だったよ」
今ここでハノスとやり合うわけには行かない。
今回の俺の任務は死神さんたちの情報収集がメインだ。
もし最悪戦闘になった場合は、直ぐに撤退するように命令が出ている。
「てことで、すまないなハノス。あんたとの戦いは、また今度にとっておくよ」
その言葉を最後に、俺の姿は吹雪の中へと消えて行った。
「……」
その場に一人ぽつんと残されたハノスは、口元に巻いていたマフラーを外すと、さっき見たマークの事を思い出す。
「……NOVA」
と、小さく呟いた彼は、鋭く目を細めたのだった。