「さてさて、お次はっと」

死神さんの左隣を歩いている女の子、『サテラ・ハーツ』。

種結晶の種類は『遠方型』のため、近接戦闘よりも遠距離戦闘を得意とし、銃による攻撃でみんなのサポートをしている。

その腕はピカイチであり、恐らくSEED本部内では彼女の右に出る者はいないだろう。

アビスを殺す事にも容赦がないらしいが、あの可愛らしい見た目でと思うと鳥肌が立ってくるな。

「とりあえずあの三人の情報はこんなもんか、もう少し詳しく調べたいところだけど、問題なのがあと三人残ってるんだよな」

俺はスコープ越しに、死神さんの後ろを歩いている青年へと目を向けた。

「ある意味、死神さんよりもあいつらに気をつけないといけないんだよな……」

青年の名前は『ジュース・グリーングラッド』

種結晶の種類は『近接特攻型』であり、腰にある愛剣を使った近接戦闘を得意とする。

頭の回転も速く、即座にその場の戦闘状況を把握して行動を取る。種結晶の力をコントロールする事にも長けており、種結晶の力を宿したあの剣で貫かれたアビスはひとたまりもないだろう。

それにジュースはあの四人の中でも特に、死神さんへの忠誠心が強く心から慕っている事が見て取れる。

おそらくあいつがあの部隊に居る限り、死神さんに近づく事は容易ではないだろ。

「まぁ……あいつはそのうち、叩きのめすからいいけど」

スコープの中で軽く目を細めて、俺がジュースを睨みつけた。

ま、それはまた別の機会にして、俺はさっき姿を消したハノスの事を思い出す。

「そう言えば、あいつどこに行ったんだ?」

『ハノス・ブランシェット』。

種結晶の種類は『バランス型』で、近接戦遠距離戦共に難なく適応し、どんな武器を持たせても卒なく使いこなす事が出来る。

良いように言えば天賦の才を持った人間でもあり、言い換えれば化け物でもある。

今回はジュースに合わせて大剣を使っていたが、ハノスは戦況によって武器を変える。

ある時は全武器が入った大きな鞄を持って、特殊任務に赴いた時があると聞いた事がある。

彼がどんな状況で武器を変えるのかは、今度もっと観察しておいた方がよさそうだな。

それにそんな彼は、死神さんの命令に従っているって言うよりも、ジュースのために仕方なく従っている事が分かった。

ハノスは死神さんよりも、ジュースへの忠誠心が一番強い。

ジュースとハノスの関係については今後探るとして、ハノスはジュースの命令なら何でも言う事を聞くため、最悪ジュースの側からは離した方がよさそうだな。

そんな事を考えながら、俺は最後に死神さんへと視線を移す。

「さてさて、死神さんの情報はっと」

俺は死神さんの情報が書かれたページへと目を落とす。

しかしそのページには、たった一言『不明』とだけ書かれていた。

「……っ」

俺はそのページをじっと見下ろした。

あの部隊の中でも、いやSEED全体の中でも死神さんは特に情報が公開されていない人だ。