夏休みの間。私達はよく連絡を取り、カフェでよく会い、よく話をした。
 八割は小説のこと。二割はお互いのことを。
 その中で驚いたのは麗華の年齢。
 大学生か社会人だと思っていたが、実は私と同じ高校二年生だった。
 麗華のような大人っぽい美人と一緒に居るのは少し気が引けるけど、それ以上に一緒に過ごす時間は楽しく。そして彼女はそれを鼻にかけず、本のことばかりを話していた。
 好きな作品のタイトルを出したら、感想が返ってくる。
 面白かった所、感動した場面、共感したセリフ、忘れられない物語がとことん合い、小説について語り明かした。

 それに。
「いただきまーす」
 私達は店員さんが持って来てくれたキャラメルパフェに、スマホではなくスプーンを握る。
 初めて二人でお茶をして、パフェを頼んで持って来てもらった時。私は食べていいか分からず手が止まってしまったけど、麗華はためらうことなくスプーンでパフェを頬張っていた。
 そんな姿を、ただ見つめてしまった。
 麗華は、「ごめん。写真撮りたかった?」と慌てて謝ってくれたけど、そうじゃない。そうじゃないよ。
 ただ、嬉しかっただけ。

 話を聞くと、麗華も大の甘党でケーキやパフェが大好きらしく、一緒に「美味しい」と食べることが出来る関係。
 こんな楽しい時間があるなんて、知らなかった。