幼少期に小児癌を患った少女は、治療の為に外に出られない生活を送っていた。
辛い治療を乗り越え小学校に通えるようになったが、そこでは無理解による孤立が待ち受けていた。
そんな少女は幼少期から本が好きで、小説を書き、それを希望に生きていたが、そんな最中に癌が再発。余命宣告を受ける。
最後は好きに生きたいの願った少女は高校に通い、そこで以前より憧れていたweb小説家と出会い、小説の書き方を教えてもらう。
病気の悪化により高校に通えなくなるが、最後に命を削って書き上げた作品を公募に出し、大賞を受賞。
「自分の作品を世に出したい」という最後の願いを叶えた少女は、親と憧れの小説家に看取られながら亡くなる話だった。
そして、後書きから分かる。
この物語は実話で、作者は彼女に執筆のやり方を教えていた小説家だったことを。
本の表紙を見て思う。二人が儚い表情で本を読んでいるのはそうゆうことなのだろうと。
次の日に私はまた本屋さんに行き、本を買った。
亡くなった少女が、寿命を削って書き上げた物語を読みたかった。
一人の読書好きの少年が友人と小説を書いていたが、少年の才能に嫉妬した友人に裏切られ、クラス中に執筆していることを暴露されてしまう。
筆を折り人間不信になった少年は高校生になるが、夢もなく友達もあえて作らず、何ごともない三年間を過ごすと決めていた。
しかし同級生の女子に執筆のやり方を教えて欲しいと頼まれ、小説に触れていくうちに自分自身に向き合っていくという話だった。
この物語の主人公は、憧れの小説家だったんだ。
二人は子供の頃から本が好きで、執筆もしていて。
互いのことが大切で、作品にもリスペクトがあって、認め合っていた存在だったんだ。
それなのに彼女は亡くなった。まだ十八歳だったのに。
置いていかれた彼は、どれほど苦しかっただろうか。
彼はあの物語を書き上げるのに、どれほどの涙を流してきたのだろうか?
気付けば私の頬には涙が伝っていた。
悲しい。苦しい。でもだからこそ、この物語は美しいのだろう。
この二人の物語を彼女にも読んで欲しい。
そしてどう思ったのか。それが聞きたい。
また会いたい。彼女に。