しかし、こうしている間にも時間が過ぎてゆき、終業式の放課後を迎えた。
 朝から冷たい雨が降り、それは雪に変わるだろうと予報が出ていた最中。三人のテンションは違った。
 今日はレイの新曲発表された日で、配信された曲をダウンロードしてその歌を口ずさみながら教室を後にする。
 今からグッズを買いに行こうと盛り上がっているが、私はその話に上の空で、ただ麗華を見ていた。

 すると、また逸らされる視線。
 結局、私は行動を起こせず階段を降りて行った。

 私はこのまま、ずっと変われないのかな?
 麗華と出会って、何かを変えられるんじゃないかと思って。
 でも結局何も変えられなくて、ウジウジして。
 大切な友達を裏切って。
 でもそんな私を見放さずに、泣いている時にそっと傘を差してくれる彼女の話聞かなくて、八つ当たりして。
 それでも、転けた私を心配して助けてくれた。

 なのに私は?
 一回、正論を言われただけで話聞かずに逃げたり、返事くれないからってすぐ諦めたりして。どうして私は、ここまでダメなんだろう?
 本当は気付いているよね? もう麗華に会えなくなるかもしれないって?
 だけど今なら、まだ。

「……私、用事があるの」
「え? でも、急がないと記念グッズが……」

「私、もっと大事なことがあるの! ごめん!」
 そう言い、私は階段を駆け上がって行く。

 そうだ私には、もっと大切なことがある。
 今、やらなければならないことが。
 麗華は、もしかしたら三学期から学校来なくなるかもしれない。
 なんとなくそんな気がしていた。
 だから、これが最後のチャンスかもしれない。
 私はこれ以上、大切な人を傷付けたくない。
 今、私が出来ることは。