十二月中旬。すっかり肌寒くなった冬本番。
 とうとう初雪が降って凍り付くような寒さから、教室のストーブに張り付く生徒多数の中。わざわざ寒い廊下に出て行こうとする女子生徒が一人居た。

「良かったね、ジロジロ見られることもなくなって」
「……うん」
 私はストーブにあたりながら、教室のドアを開けて出て行く麗華の背中を見ていた。

 あれから二週間。
 メッセージで「ケガをさせてごめんなさい」と送られてきたから、大丈夫だったことを伝えた。それに加え、「話したいことがある」と打ち込んだけど、返事はなく既読にもならなかった。
 どうしても伝えたいことがあった私は迷惑承知の上で、家に手紙を投函し家の住所を書いていたけど、返事がくることはない。
 やはりブロックされているのだと、よく分かった。

 あれから麗華は私を避けるようになり、授業が終われば必ず教室を出て行くようになった。
 それほど知られたくないことだったんだ。
 その気持ちは痛いほど分かるからこそ、話がしたかった。